しろ鹿 脊振の山散歩

かけだし森林インストラクターのぶらぶら山散歩

猛暑のなか小爪谷へ

豪雨のあと、車谷と椎原峠ルートの様子は見ていましたが、多分荒れているだろうと思われる小爪谷(小爪峠ルート)が気になるので出かけてきました。

猟師ヶ岩東側の岩場から雲仙を望む

林道から歩き始めましたが、すでに大変な暑さにやられます。

それでも、林道沿いには、たくさんの花や木の実が見られます。

カラスザンショウ(ミカン科)の花

カラスザンショウは、森の中を歩いていると、幹のトゲやトゲの後のぼこぼこでしか気づきませんが、林道だと目の前で花も見ることができます。

改めて「サンショウ」の名が付いているミカン科の木なんだなあ…と

 

こちらはすっかり花は終わって実をつけています。

クマノミズキ(ミズキ科)の実

葉っぱが対生になっているので、クマノミズキでしょう。

実、なんかおいしそうだけど、食べられないのかなあ・・・

 

こちらはおいしくなさそうなオオバヤシャブシの実

オオバヤシャブシ(カバノキ科)の若い実

オオバヤシャブシは、自生の分布は東北南部から近畿となっていて、砂防樹として道路のり面に植えられたことで、全国で野生化したそうです。

これも林道沿いなので、そういう経緯でここで生きているんでしょう。

 

エゴノキ(エゴノキ科)の実

 エゴノキの実はサポニンを多く含んでいて、味がえぐいので「エゴ」の木…

「えぐの木」でいいじゃん。

天然の石鹸になります。

 

ノリウツギ(アジサイ科)

これは夏の花。

樹皮の粘液を製紙用のノリとして利用されたので「糊」ウツギだそうです。

アジサイの仲間で、装飾花もついていますが、花(というか花序)の形が、アジサイとはずいぶん違いますね。

 

とにかく暑い日で、途中で沢登の一行と出会いました。

涼しそう、うらやましい。

沢登の一行

こちらは、沢に入ってないのに汗でびしょぬれ…

 

まだまだ夏だけど

アキノタムラソウ(シソ科)

アキノタムラソウです。

「アキノ」という名前が付いた花の中では一番早く花が咲くんじゃないでしょうか?

まあ、秋になっても咲いていますから、いいでしょうが

 

クサアジサイ(アジサイ科)

ヤマアジサイが終わった後は、クサアジサイ。

「ヤマ」はきれいなブルーの花で、こちらの「クサ」はピンクの花を咲かせます。

 

ヌスビトハギ(マメ科)

これは、かわいそうな名前ですね、何にも悪いことしてないのに。

実が衣服にくっつくからとか、実の形が盗人の足跡みたいだからとか、わけのわからない理由でこの名がついているそうです。

花は小さいけど、よく見るとかわいいんですけどねえ。

 

マツカゼソウ(ミカン科)

マツカゼソウは、葉っぱが特徴的で好きな花なんですが、葉っぱを写していませんでした。

ミズビキの赤い花とコントラストがよかったです。

 

ジンバイソウ(ラン科)

ジンバイソウもいつものところに…

まだつぼみの状態ですが、株は少しずつ増えています。

 

ミズタマソウ(アカバナ科)

これも面白い花ですね。

ミズタマソウ。

花の下にげじげじの実がついています。

 

コバギボウシ(キジカクシ科)のつぼみ

コバギボウシは、まだつぼみでした。

このつぼみの形が、和風の端の欄干の突端や神社の高欄の柱の突端につかられる「擬宝珠」に似ているから…とか

似てるかなあ?

 

夏はやっぱり虫たちも元気です。

ミヤマカラスアゲハ(上は♂下は♀)

ミヤマカラスアゲハは翅の色が本当にきれいです。

メスは少し色がじみですが。

 

イチモンジチョウ

飛び方や見た目でガと間違われますが、蝶の仲間です。

このイチモンジチョウは、下翅がかなり欠けてます。

ずいぶん戦ってきたんでしょうね。

 

で、こっちはシジミチョウかと思って調べたら

ベニイカリモンガ

ベニイカリモンガというガの仲間です。

そもそも、蝶と蛾は生物的には同じ種となっているそうです。

一般に「蝶は翅を閉じて止まり、蛾は翅を開いたまま」とかいうことを言われますが、これは全く間違いで、しいて言うと触角の形ともいわれます。

それも、例外ありのようですね。

 

カマキリ君はまだ子供のようです。

カマキリ

カマキリって、こちらをじーっと見てるんですよね。いつも

 

ゴマダラカミキリ

これはカミキリムシ。

昔は、街中でもたくさん見かけましたが、最近は珍しくて、懐かしい虫になりました。

 

足元で「ぎぃーーーーーー」と声がする

エゾセミ

と思ったら、足元の岩にしがみついてエゾセミが鳴いていました。

九州では山の中でしか出会えませんが、北海道では平地にもたくさんいるそうです。

鳴き声はかなりやかましいですが

 

最後に少し風景を

メタセコイア(スギ科)の林

猟師ヶ岩東側岩場より福岡市内を望む

で、結局小爪谷の登山道は、豪雨の影響はほとんどありませんでした。

もともと荒れ気味で、整備されていないので…

ただ、季節的に途中のヤブがひどくて、ルートを見失いそうになるほどでした。

なんとかせねば。

ヤブ漕ぎとあまりの暑さで、軽い脱水状態になって食事をとれませんでした。

水分は、ナトリウムも含めて十分持って行ったので、問題はなかったのですが、皆さんも野外活動の際は、十分お気を付けください。

 

2023年8月5日山行


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豪雨の爪痕・・車谷

更新さぼってました…

…で

7月の豪雨の時には、脊振山地上空にもしばらく線状降水帯が発生していたので、登山道や林道にもかなりの影響が出ていそうです。

林道は確認できただけでも、椎原登山口と小爪谷の間の林道1か所、三瀬峠方面から滝川谷の登山口(花乱の滝上流)への林道、三瀬村から椎原峠方面へ向かう林道(佐賀県側)は土砂崩れで通行止めになっていました。(佐賀県側はすぐに重機が入っていたので復旧しているかも)

時期的に、車谷のキツネノカミソリ、オニコナスビの状態も気になるので、車谷に出かけました。

 

車谷の沢も水量が多めです

車谷ー矢筈峠のルート、上の林道から上の沢は色々なところに爪痕が残っていました。

豪雨の爪痕
斜面の樹木が根元からごっそりと沢まで滑り落ちています。

椎原峠への登山道も、斜面がえぐられています

キツネノカミソリの群生地

車谷上流部のキツネノカミソリの群生地は、斜面の球根も流され、大小の石や岩が流れ込んでいます。

ここ数年、車谷のキツネノカミソリの群生地はたくさんの花が咲き誇って素晴らしい風景をつくってくれていましたが、今年はちょっと厳しいようです。

かろうじて咲いていたオオキツネノカミソリ(ヒガンバナ科)

残った株は少しずつ花を咲かせていましたが、上の群生地を見る限り、こんな花やつぼみ、茎さえも見当たりません。

 

こちらは、元気に咲いてくれていました。

オニコナスビ(サクラソウ科)

最近、この辺りのオニコナスビも有名になって、踏み荒らしが問題になっています。

別の自生地もあるんですが、数年前にイノシシが掘り返したようで、少し数が減ったうえにここ数年花がついていないようです。

盗掘はもってのほかですが、踏み荒らしでも群落が弱ってしまいます。

気を付けたいものです。

 

こちらはまだつぼみ…

ヤマジオウ(シソ科)のつぼみ

ヤマジオウも県によっては絶滅危惧種に指定されている花です。

地味ですが、大切にしたいですね。

 

豪雨の爪痕が残る中、色々な生き物がしっかり季節を表現しています。

クヌギタケの仲間?

キノコは難しいのですが、多分、クニギタケの仲間でしょうか?(って、質問型)

 

オトギリソウ(オトギリソウ)

オトギリソウも色々な種があります。

このあたりでは、オトギリソウ、ナガサキオトギリ…色々…

 

コオニユリ

コオニユリ(ユリ科)

オニユリによく似ていますが、オニユリは葉の付け根にムカゴが付きますが、コオニユリは、ムカゴが付きません。

 

虫や生き物たちも元気です。

スジコガネの仲間

葉っぱを食べるコガネムシと…

 

センチコガネ

糞やキノコを食べるコガネムシ。

じつは、仲間のカブトムシも糞や腐葉土に集まりますね。

 

こちらは、捕まえると、ひっくり返って死んだふりをして、しばらくするとペコンッと飛び上がるコメツキムシです。

コメツキムシの仲間

多分、クシコメツキの仲間かと思います。

 

チャバネセセリの仲間

セセリチョウの仲間もいろんな種類がいます。

ガではありません。

 

ジャノメチョウの仲間、ヤマキマダラヒカゲ

ヤマキマダラヒカゲ

ヒグラシ

珍しく近づいても逃げないヒグラシが目の前で鳴き始めました。

カメラを向けると、鳴きながらゆっくりと木の裏に隠れようとします。

…が、なぜか1周まわってまた目の前に来てくれました(笑)

 

ブチサンショウウオ

サンショウウオちゃんたちは、雨にも流されず清流で元気に成長しています。

 

無残に豪雨に流されたキツネノカミソリの球根や樹木もありましたが、自然の中で季節はしっかり巡っています。

生き物たちはたくましいですね。

2023年7月23日山行

 

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コケイランとコケイランモドキ・・その他いろいろ

雨も続いて山に行けないし…

前回の記事で、コケイランと紹介していましたが、違っていましたので、少し整理を

コケイランモドキ(ラン科)

前回「コケイラン」と紹介した上の画像の花、少し貧弱だなとは思っていたんですが、まあ、花期もずいぶん遅いし…なんて感じで、疑ってもいなかったんですが、色々調べてみると「コケイランモドキ」という花のようです。

 

下の画像を見てください。

同じく脊振山地で撮影したものです。

コケイラン(ラン科)

これは、コケイラン。

まず、違いのひとつは、見た目ですね。

コケイランに比べて「モドキ」の方は、かなり貧弱ですね。

花はコケイランの方が少し大きめで、花の数もコケイランの方が少し多めです。

コケイラン(ラン科)

コケイランモドキ(ラン科)

細かく見ていくと、3枚の萼片の形もコケイランは細く伸びる感じで色も黄色、「モドキ」はかなりちっちゃくてやや茶色い感じですね。

あと、唇弁(一番下の花弁)も、コケイランの方が少し長くて切れ込みが多いですね。

それから、花期が全然違います。

コケイランは5月、コケイランモドキは6~7月で、1か月程度違います。

撮影した時も、なんか違うなとは思って、図鑑を確認したんですが、「コケイランモドキ」が全く頭になかったので、そのまま、「コケイラン」としてご紹介してしまいました。

すみませんでした。

 

さて、コケイランモドキの話はこれくらいにして、ついでに…

同じラン科の地味な花を

オオバノトンボソウ(ラン科)

これは、四王寺山で咲いていた、オオバノトンボソウです。

面白い花ですね。

脊振では、同じラン科ツレサギソウ属で、ジンバイソウを見ることができますが、トンボソウには出会ってないですねえ。

 

つぎも四王寺山のコキンバイザサです。

コキンバイザサ(キンバイザサ科)

ササのような葉っぱの根元あたりに毛の生えた黄色い花を咲かせます。

 

その近くで、一生懸命枝のふりをしているヤツがいます。

シャクトリムシ(シャクガの仲間の幼虫)

いわゆる「シャクトリムシ」です。

シャクガと呼ばれるガの仲間の幼虫です。

どちらかというと、成虫の「シャクガ」という名前は幼虫がシャクトリムシなので、こっちからついた名前のようです。

幼虫のミノムシから名前が付いた「ミノガ」と一緒ですね。

 

ヒメジョオンの花に小さなちょうちょがたくさん…

ヤマトシジミ♀

ヤマトシジミ♂

ヤマトシジミは、よく見るシジミチョウの仲間ですね。

シジミの味噌汁の「シジミ」も「ヤマトシジミ」という名前ですね。

 

ベニシジミも小さな蝶ですが、よく見ると美しい蝶です。

ベニシジミ

マメコガネ

マメコガネも沢山見かけます。

この時季は交尾中のが多いです。

お邪魔しました。

 

ここのところ、雨が多くて山に出かけていないので、ちょっと前の画像を見ていただきました。

天気予報では、来週末には梅雨明けしそうな雰囲気です。

暑くなるなあ…

 

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梅雨の花いろいろ

ちょっと、秘密の森?(笑)に出かけて、この梅雨の時期に咲いている花に会ってきました。

まずは、代表格のアジサイ…ヤマアジサイです。

梅雨です、アジサイの季節

ヤマアジサイ(アジサイ科)の花

ヤマアジサイは、装飾花がきれいな青に染まっています。

他に、梅雨の花、アジサイ科2種を

ツルアジサイ(アジサイ科)

イワガラミ(アジサイ科)

ツルアジサイとイワガラミは、よく似た花です。

はっきり違うのは装飾花の形。

ツルアジサイは4枚の花弁のような装飾花、イワガラミは1枚だけぴらっとついてます。

葉のギザギザ(鋸歯)も、ツルアジサイは細かいギザギザ、イワガラミはかなり大きめのギザギザです。

 

次は、シソ科

ヤマトウバナ(シソ科)

ヤマトウバナは、沢沿いの湿ったところにひっそりと咲いています。

(※当初「イヌトウバナ」と表示していましたが、誤りでしたので、訂正しています)

 

同じシソ科のウツボグサ

ウツボグサ(シソ科)

林道の日なたに群生しています。

花の形が弓矢の矢を入れる「靭(ウツボ)」に似ているからウツボグサ。

 

トラのしっぽ…

オカトラノオ(サクラソウ科)

この花も時季ですね。

「虎の尾」の名前にふさわしい形の花です。

晴れた日はタテハチョウの仲間がたくさんやってきます。

「トラノオ」の名前が付く花には、サクラソウ科とタデ科があります。

イブキトラノオ、ハルトラノオなんかはタデ科ですね。

 

この花を見ると山深い場所に来たなと感じます。

バイケイソウ(シュロソウ科)

花が梅、葉がケイランに似ているので梅恵草

新芽が山菜(オオバギボウシやギョウジャニンニク等)と間違われることが多いのですが、強力な毒があります。

時々誤食して中毒を起こす人がいますので、ご注意を。

そういえば、先日マムシグサの実をイチゴと間違えて食べてひどい目にあった中学生がいたようです。

山のものを雰囲気だけで口に入れるのはやめましょう。

 

こちらは生薬として利用されます。

トチバニンジン(ウコギ科)

健胃、解熱や育毛剤としても使われるとか…

少し花が咲き始めていますね。

 

アセビのような花が鈴なり

ネジキ(ツツジ科)

ネジキの花です。

もう縦走路にたくさん花が落ちています。

 

ついでに…というとかわいそうですが、

ネズミモチ(モクセイ科)

ネズミモチの木も沢山の花をつけています。

 

最近あまり盗掘の対象にはなっていないようですが…

コケイラン(ラン科)→コケイランモドキ

やはり、数は減っていますね。

野生のランは育てるのが難しいので、業者による盗掘が多いともいわれています。

(※これも、すこし誤りがありますので、7月8日の記事に詳細を記載しました。)

 

ウリノキの花も、もう終わりそうです、

ウリノキ(ウリノキ科)

 

スギ林の道に花が落ちているのを見て気が付きます。

テイカカズラ(キョウチクトウ科)

テイカカズラの花です。

藤原定家に由来する名前の花です。

 

今日は、盗掘の恐れがあるランの花があるので、場所は秘密にしておきます。

 

2023年6月24日山行

 

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金山 滝川谷

前日の土曜日の方が天候はよかったんですが、なにか疲れ果てていて…

日曜日、予報はいまいちでしたが、雨の予報ではなかったので、金山へ滝川谷のルート(花乱の滝コース)で登ってきました。

 

スギ林を抜け、沢にかかった橋を渡ると、このルートの護神のような大杉が見下ろしています。

滝川谷の入口に仁王像のような大杉

 

ユキノシタ(ユキノシタ科)

登山口の駐車場にユキノシタがたくさん咲いていました。

 

ヤマアジサイも花盛り

ヤマアジサイ(アジサイ科)

滝川谷はその名の通り、たくさんの滝があります。

大きな滝がお出迎え

小滝も続きます

 

2種類のカワトンボがいました。

ミヤマカワトンボ(右♀ 左♂)…画像をクリックで大きい画像になります

ニホンカワトンボ

この時季の花は、地味なものが多いですね

ツルアジサイ(アジサイ科)

モミジカラスウリ(ウリ科)

カラスウリの花は夜に咲いて昼間は閉じるといわれていますが、モミジカラスウリは昼間も開いています。

 

 

トチバニンジン(ウコギ科)

トチバニンジンは、花が終わって実が付き始めています。

もうしばらくすると、実が赤くなって目立ちます。

 

 

今年も元気そうです。

ツチアケビ(ラン科)

ツチアケビはランの仲間ですが、葉緑素のない腐生植物。

樹木の根と菌根菌と呼ばれる菌(キノコの仲間)たちとの間で栄養をやり取りしながら生きてます。

面白いですね。

まだ花はつぼみの状態です。

 

山頂に近づくと、急斜面にニシノヤマタイミンガサが群生して、独特の風景になっています。

ニシノヤマタイミンガサ(キク科)

ヤブレガサによく似ていますが、ヤブレガサは九州に自生のものはないようです。

 

山頂下にはそろそろヤマシグレも花をつけはじめています。

ヤマシグレ(レンプクソウ科)

麦のホップのような果苞をつけたイヌシデ

イヌシデ(カバノキ科)

 

クマノミズキの花が咲き誇っています。

クマノミズキ(ミズキ科)

 

今年もよく見かけます。

ニワハンミョウ

肉食です。

ニワハンミョウ

 

見た目が面白い。

顔のような模様のカメムシです。

ヒメホシカメムシ

エダシャクガと呼ばれるガの幼虫です。

エダシャクガの幼虫

いわゆる「尺取り虫」です。

エダシャクガも沢山の種類がいます。

調べましたが、どのエダシャクなのか…

ちょっとわかりませんでした。

 

登山道の真ん中でぶらぶらと…

ミノガの幼虫

ミノムシですね。

ミノガというガの幼虫です。

昔は街中でもたくさん見かけましたが、今はすっかり見かけなくなりましたね。

街路樹の消毒などの影響でしょうか。

 

ハナイカダの葉っぱには実がついています。

ハナイカダ(ハナイカダ科)の実

 

この20年以上のあいだ、全く気が付かなかったんですが、なんと登山口付近のスギ林の中に立派なカツラの大木が…

カツラ(カツラ科)

九州には自生がないとの話もありますが、九州でも冷温帯には自生のものがあるようです。(そういえば、三瀬(佐賀県)には天然記念物「下合瀬の大カツラ」があります)

脊振には植樹されたカツラもありますが、この木は樹齢もそれなりにありそうです。

多分、自生でしょう。

それにしても、今まで秋に何度も歩いているんですが、あの甘い香りに一度も気付きませんでした。

今年の秋が楽しみです。

 

天候はいまいちでしたが、発見もあり、お久しぶりの子もいて、楽しい山歩きでした。

 

2023年6月18日山行

 

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井原山 ダルメキ谷へ

このコースも久しぶりです。

梅雨の晴れ間…というにはいまいちの天気でしたが、暑すぎず、雨にも会わず。

きとく橋の登山口からアンノ滝~瑞梅寺川源流~水無谷~山頂…と変則コースで

井原山頂から雷山方面を望む
ヤマボウシの花が美しい

 

アンノ滝の下の沢は、やっぱり涼しくて気持ちいい

ダルメキ谷の沢

アンノ滝

アンノ滝も今日は水量が多いですね。

 

ウリノキ(ミズキ科)

ウリノキの花があちこちで咲き始めています。

毎年紹介していますが、棒状のつぼみから、くるくるっと花弁が巻き上げられて、中からおしべが出てきます。

葉っぱの形がウリの葉っぱに似てるから「ウリノキ」なのに、脊振山地で見ることができるウリノキは、モミジ葉・・・さて、どうしましょう。

虫たちも元気ですね

カワゲラ

沢沿いのあちらこちらで、カワゲラが見られます。

カワゲラも、色々種類がいますが、同定が難しいので「カワゲラ」ということで。

 

なんとびっくり、林道脇やアンノ滝の下あたりで、もうキツリフネが咲いていました。

キツリフネ(ツリフネソウ科)

キツリフネ、毎年8月の末から秋にかけて咲いているんですけど・・

それはそうと、毎年見ていますが、いつ見ても変わった花ですよねえ。

 

標高低めのところでは、ヤマアジサイも咲き始めています。

ヤマアジサイ(アジサイ科)

サワギクも

サワギク(キク科)

 

コガクウツギ(アジサイ科)

コガクウツギは、比較的花期が長いように思いますが、そろそろ終わりです。

 

サイハイランは、花がほとんど終わっていますが、かろうじてしょぼしょぼのが残っていました。

サイハイラン(ラン科)

これは、「ガ」ではありません、ちょうちょです。

コミスジ

コミスジ。

ラジオで「翅を閉じて止まるのが蝶、広げて止まるのはガ」と堂々と言っていましたが、間違いですね。

チョウとガは、生物学的には区別はないようです。

あえていうと、触角の形の違いだそうです。

 

下の画像、なんだかわかりますか?

ラショウモンカズラ(シソ科)のツル

そう、ラショウモンカズラのツルです。

花期には大きめのカキドオシのようで、「カズラ」の名前が不思議に思いますが、花が終わったあとに、こうやってツル(カズラ)を伸ばすので、ラショウモンカズラです。

 

立ち枯れした木の下の方がボロボロになっていたので、少し掘ってみたら、何やら幼虫が出てきました。

なんの幼虫でしょう?

カミキリムシではなさそう。

カナブンか?コクワガタ?

小さいのでカブトムシではなさそうです。

よく見ると、糞のようなものも混じっています。

 

マタタビの葉っぱにペンキが(笑)

マタタビ(マタタビ科)

まだ、花は咲いていないんですが、花期に葉っぱを白くして、葉の下の小さな花にチョウやハチを呼び寄せるそうです。

 

クマイチゴ、もうすっかり熟して食べごろです。

クマイチゴ(バラ科)の実

クマイチゴの実は少し上品な香りで、ほんと、おいしいイチゴです。

もちろん、2個ほどいただきました。

虫がついていることもあるので、食べるときはよく確認して

 

 

ケヤキの森

稜線に出ると、またまたいろんな花が咲いています。

ヤマツツジ(ツツジ科)

ヤマボウシ(ミズキ科)の花

ネジキ(ツツジ科)のつぼみ

山頂付近では、タテハチョウの仲間が縄張り争いをしています。

アカタテハ

ウラギンヒョウモン

これは、モンシロチョウに似ていますが・・・

スジグロシロチョウ

ちょっとちがう、スジグロシロチョウです。

 

小さな虫たちも

ハイイロビロウドコガネ

ツヤエンマコガネ

ヒメヒゲナガカミキリ

もうこの時季になると、上手にさえずります。

ウグイス

声はよく聞こえるんですが、姿をなかなか見せてくれません。

今日は、ちょうど見える位置で、こちらに気づかずに一生懸命さえずっていたので姿が撮れました。

 

だんだん暑くなってきますね。

梅雨が明けたら、沢の季節です。

その前に九重、いや、もっと遠くの山にも遠征したいのですが・・・

楽しみましょう!

 

2023年6月10日山行

 

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1ヶ月ぶりの脊振山地へ(金山)

金山山頂を振り返る

うわぁ~、もう1ヶ月経った!

5月は前回更新以来、毎週土日に森林インストラクター関係の仕事でいっぱいになってしまい、そうこうするうちに梅雨入りになって、まったく山行きができませんでした。

…とはいえ、ちょっと宝満山には出かけたんですが、石段の写真ばっかりで…(苦笑)

この日は久しぶりに天候も良く、予定も入っていなかったので、軽く佐賀県側から金山ー小爪峠を歩いてきました。

 

金山南面の沢

金山南面の沢は比較的おとなしめですが、前日までの雨の影響もあり、水量が多めです。

ウリハダカエデ(ムクロジ科)の新緑

ウリハダカエデの大木に新緑がまぶしい。

 

ニホンカワトンボかな?

沢沿いでは、川トンボがたくさん飛んでいました。

翅の白っぽいポチが付いていないので…アサヒナちゃんではないかな?

多分、ニホンカワトンボかな。

 

エゴノキの花はほぼ終わりかけていますが、地面に落ちた花が雪のように降り積もっています。(浜田省吾?…)

エゴノキ(エゴノキ科)の花で真っ白

エゴノキ(エゴノキ科)の花

エゴノキは、実(果皮)にサポニンという成分を多く含むので、食べるとえぐみがひどいので、エグ→エゴ・の木となったそうです。

じゃあ、エゴノキでいいじゃん!

なんか、またもやもやする感じのネーミングですね。

このサポニンは、石けんの成分でもあるので、これ石けんの代わりにすることもできます。

 

縦走路のブナの森

脊振の稜線には、タンナサワフタギの木もたくさん見られます。

タンナサワフタギ(ハイノキ科)の花

サワフタギとは、沢を塞ぐように繁るので「沢ふさぎ」または「沢蓋木」からついた名前といわれていますが、このタンナサワフタギは、沢沿いよりもどちらかというと稜線でよく見ます。

ハイノキ科らしく、ハイノキの花によく似ています。

ちなみに、「タンナ」とは、今の韓国・済州島に建てられていた耽羅国(たんらこく)

からきているそうです。

 

ヤマキマダラヒカゲ

金山山頂の道標の上に、ヤマキマダラヒカゲがとまっていました。

ジャノメ蝶の仲間ですが、翅の「蛇の目」は小さくてあまり目立ちませんね。

 

ベニドウダンもたくさん咲いています。

ベニドウダン(ツツジ科)

シロドウダン、ベニドウダンも、稜線でよく見かけます。

もうそろそろ、花も落ちているので、これも地面に落ちた花で気付きます。

 

林床にも草花がいろいろ

ギンリョウソウ(ツツジ科)

タツナミソウ(シソ科)

 

今日は本当に天気がいい!

縦走路途中の岩場から脊振山を望む

 

林道沿いでも、色々な花が見られます。

ヤブムラサキ(シソ科)

ムラサキシキブの仲間のヤブムラサキは、秋になると小さくて、きれいな紫色の宝石のような実を付けます。

葉っぱがふかふかで、さわると気持ちいい。

 

スイカズラ(スイカズラ科)

スイカズラは、日本原産の植物だそうです。

花を引き抜いて蜜をちゅうちゅう…今日はしなかった。

蜜を吸うから「吸いカズラ」…でも、漢字で書くと「忍冬」

何でだろう?

因幡晃さんに聞いてみよう。(あ、作詞はちあき哲也さんだ)

薬草だそうです。

 

これも、この時季よく見かける花

ウツギ(アジサイ科)

ウツギです。

あ、アジサイ科だったんだ。

アジサイ科で装飾花がないのは、珍しいように思います。

茎や枝の芯が空洞になっているので「空木(うつぎ)」だそうです。

「ウツギ」と名前の付くものには、アジサイ科とスイカズラ科のものがありますね。

そのあたりは、またおいおい。

 

スギ林の中に、スミレが実を付けていました。

スミレの種

多分、シハイスミレかな?

三つにパカッと割れて、中から種が飛び出しますね。

 

これは…

ジャコウアゲハ?

翅の色、後翅の尾の長さから、多分、ジャコウアゲハの♀かな?

…ということは、食草のウマノスズクサがあるのか?

そういえば、それらしき葉っぱを見かけたなあ…

などと考えながら…多分、ジャコウアゲハでしょう。

 

林道のイチヤクソウは今年も元気です。

イチヤクソウ(ツツジ科)

梅雨明けまでは、晴れ間を狙って出かけるしかないですね。

まあ、雨の山の良さも十分知ってはいるんですが、はじめから雨とわかっていて出かけることは、ここ最近なくなりました。

だって、あとが大変だもん。

ところで、最近の梅雨は雨の降り方も熱帯っぽくなってきてるので、災害が起きない程度のほどほどでお願いしたいものですね。

 

2023年6月3日山行

 

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