しろ鹿 脊振の山散歩

かけだし森林インストラクターのぶらぶら山散歩

すっかり冬枯れの金山へ

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縦走路から振り返る金山

 今回は坊主が滝コースで金山に登り、椎原峠まで縦走し椎原へ下山というコースで歩いてきました。

 坊主が滝は脊振山地の中でも花乱の滝、雷山清賀の滝、白糸の滝等と並び比較的有名な滝です。

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坊主が滝

滝の少し下にある宿泊施設「湧水千石の郷」(現在休業中)を訪れた人がちょくちょく登ってきます。

この滝の右側から巻いて坊主小屋経由で尾根にあがるのですが、最近は杉林の道から直接尾根に登る登山者が多いようでこちらの道は少し荒れています。

坊主小屋からは杉林の中の急登を登って尾根道に合流します。

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城壁のような岩壁

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杉林の中にセンリョウの赤い実が

杉林の急登で赤い実をつけた低木を見つけました。

センリョウです。

この辺りでは少し珍しい。

尾根にあがったあとは山腹をトラバースするように進んで沢に出ます。

この辺りの沢もとても美しいのですが、今日は写真なしです。

また今度。

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ツクシシャクナゲの花芽

高度が上がるとやせ尾根にシャクナゲ(ツクシシャクナゲ)の木が見られます。

この木は栄養の少ない岩場ややせ尾根に多く見られます。

冬に翌年咲く花の芽をつけるので、来年の花の咲き具合がわかります。

1年おきに裏表があると言われますが、実際はまちまちで特に最近は裏が続いているように思います。

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すっかり冬枯れのブナの森

山頂から椎原峠に向かう縦走路はブナの森が広がり本当に気持ちの良い道です。

雪の少ない地域のブナらしく個性的なブナがたくさんいます。

色々なブナの姿を撮影しているので、これは近いうちにまた公開します。

脊振の縦走路では落葉広葉樹林と照葉樹林が交互に現れます。

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縦走路の照葉樹林帯

落葉樹はブナ、シデ類、カエデ類、リョウブなどが多く、この時期は葉が落ちて明るい森になります。

これに比べ照葉樹林帯ではアカガシを中心にシキミ、ヤブツバキ、ツゲ等…

森の中は暗くなり、林床にもササなど生えていないことが多いのですが、上の写真は落葉樹も混じっているので明るくてミヤコザサがたくさん見られますね。

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チョックストーン

縦走路途中の岩場では脊振山方面の景色が非常にいいのですが、ここにちょっとしたチョックストーンがあります。

でも、あまり迫力がないせいか誰も気付いていないようです。

 

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猟師が岩東端から脊振山を望む

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ミヤマシキミの実

照葉樹林の林床にはミヤマシキミがたくさん見られます。

この時期は真っ赤な実をつけています。

「シキミ」の名がついていますがミカンの仲間です。

葉っぱをちぎると柑橘の香りがします。

ただし、実には毒があるとも言われていますのでそういう意味で「悪しき実」が語源の「シキミ」と同じ仲間と見られたのかも知れません。

 

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稜線のやせ尾根

猟師が岩から鬼が鼻岩方面には岩のむき出しになったやせ尾根が続きます。

上の写真の左側が福岡県側、右が佐賀県側…

ここが断層地形であることが少しわかります。

 

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椎原コースの杉林からメタセコイアの森

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メタセコイアの森の紅葉

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メタセコイアの森

下山は椎原峠から椎原の集落を目指します。

途中にメタセコイアの森があります。

メタセコイアは和名で「アケボノスギ」といいますが、中国原産で生きた化石とも言われ数千万年前から存在していた植物です。

森の中に入ると大木の陰から1mくらいのトンボや恐竜が現れそうな気がします。

もちろん人工林ですがどういう目的で植林されたのかわかりません。

今回は全行程6時間ほどの山歩きでした。

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椎原登山口への林道

ところで、現在椎原から車谷、椎原峠などへ向かう林道は土砂崩れにより車両通行止めです。

見たところ、しばらく復旧はできそうもなさそうですので、バス停付近の駐車場利用がいいようです。

 

ふくおか森林インストラクター会 | ふくおか森林インストラクター会は地域の人々に自然や森林の大切さを伝えています。 (forest-instructor-fukuoka.com)