しろ鹿 脊振の山散歩

かけだし森林インストラクターのぶらぶら山散歩

傾山へ

またまた脊振ではない山へ…

上畑の集落付近から望む傾山

近いうちの祖母・傾縦走をやりたいなと考えていましたが、よく考えると傾山には登ってなかったことに気づきました。

このところ大分出張が続いているのでせっかくならということで下見がてら傾山へ出かけることにしました。

傾山は祖母・傾山塊にあり大分県・宮崎県の県境に位置します。

この山域は本当に山深く険しいので十分な下調べと準備が必要です。

ルートは比較的安全な上畑から九折越え経由で傾山へ向かうコースです。

それでも登りのみで4.5時間はかかります。

登山口には十分な駐車場もあり、きれいなトイレもあります。

登山口から傾山頂

登山口付近から傾の威容が見えます。

登山口から作業道のような道を進み山に分け入るとほとんど斜面をトラバースする道が続きます。

期待していた沢ははるか下の方に流れています。

深い森の中を進みます

少し脊振の金山の登山道を思わせるような雰囲気がありますが、森の深さ、山の大きさが違います。

標高が上がっていくとやがて新緑の中にミツバツツジのピンクが見え始めます。

ミツバツツジ

林道を渡って尾根を登ってゆくと木々の間に傾山の威容が見え始め、周辺はツガの森になります。

名残ヤマザクラの向こうに傾山頂

 

ツガの森

尾根道のツガの大木

ツガの大木

ブナの芽生え

急な斜面を折り返しながら登ってゆくと足元に何か小さな花のようなものが…

調べてみるとブナの芽生えのようです。

これはなかなか珍しい。

なぜ珍しいかは後ほど

 

稜線が近づくとヒメシャラの木が目立ちはじめます

しばらく上ると開けた稜線に出ます。

九折越えです。

登山口から3時間15分ほどかかりました。

九折越えから傾山北側の稜線を望む

 

稜線に出ると気持ちのいい落葉樹林の中を進みます。

この辺りは鹿が多すぎて、森の下草や樹木の樹皮を食べてしまうので鹿よけのネットが張られています。

稜線はカエデ類やブナなどの森ですが、普通ブナの森の林床にはミヤコザサなどのササ類が茂るのですが、ここは林床にササも草本類もほとんど生えていません。

だから、逆に先ほどのブナの芽吹きを見ることができるのかもしれません。

稜線の森

稜線には鹿よけネットが張られています

稜線を進んでゆくと傾山の威容がさらに迫ってきます。

イカツいです。

心折れそうになります。

なんだか威嚇されてるような気になります(笑)

稜線から傾山頂をのぞむ
左側が本傾、右側が後傾

ヤマガラ

シロモジの花

山頂が近づいて傾斜がきつくなってくると急にアセビの群落が現れます。

アセビの白い花がもう鈴なりに咲いています。

山頂付近のアセビ

アセビの花

正面から見るとどうやって登るのかと途方に暮れそうですが、後傾までは急ながら安全な登山道が続き、本峰の山頂へも裏側から安全に登れます。

傾山頂

山頂直下の断崖

祖母山方面の稜線を望む

大崩山塊を望む

山頂から九重連山を望む

山頂にはマンサクの花が咲いていました。

この辺りはまだ平地でいうと3月頃の気候なんですね。

マンサクの花

山裾の谷や尾根にツガやモミの森が広がっているのがわかります

今回は縦走の下見でもあるので周回せずに同じ道で下山します。

祖母、傾、大崩という山域はやはり九州でも最も山深く険しい山です。

色々な意味で脊振では味わえない魅力があります。

新緑の森

ここ数年脊振ばかり歩いていたので、今年はちょくちょく遠征をしたいと思っています。

例えばツガの森やシカの食害のあと…普段脊振では見ることができない色々な自然の出来事を見ることができます。

脊振の自然とともにお伝えしていきたいと思います。

 

2022年4月16日山行

 

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