しろ鹿 脊振の山散歩

かけだし森林インストラクターのぶらぶら山散歩

三瀬峠から金山へ

城山東側の岩場(西鬼ヶ鼻)から金山を望む

 連休二日目の晴天で、井原山や車谷方面は登山者が多そうなので三瀬峠から金山に向かうことにしました。

 三瀬峠は最近井原山への登山口の少し上の方にかなり大規模な太陽光発電設備が設置され、以前駐車場として使用されていたスペースが閉鎖されてしまいました。

 やむなく雷山林道の路肩に駐車するしかなさそうです。

 峠から金山方面の登山道に入るとすぐに照葉樹林の急登が続きます。

カゴノキ(クスノキ科)の独特の幹

スダジイの若葉

照葉樹(常緑広葉樹)は今新芽、若葉が続々と出てくる時期で、この時期に古い葉っぱが落ちてしまいます。

照葉樹の葉っぱは表層面のいわゆるクチクラ層にロウの成分が多く硬いので、これを踏みながら歩くと葉っぱ同士がつるつると滑って特に急登では登りにくくなります。

熊手を持って歩きたい。

アカガシの落ち葉で登山道はツルツル滑ります

立ち枯れの木にラーメンのお供(キクラゲ)を発見

しばらく歩いているとたまたまつながったメールで友人がお日様に虹みたいなカサがかかってると教えてくれましたので空を見上げると…

木々の隙間から青空に虹が

三瀬山を過ぎ斜面を下ると少し開けたシロモジの群落地に出ます。

ここで空を見上げると見事な日暈が見えました。

日暈(ひがさ)またはハロというようです

晴天でしたが上空に寒気が入るとの予報でしたので薄い雲が広がっているようですね。

 

ひとしきり日暈を眺めてちかちかする目をこすりながら城山への斜面を登りアゴ坂を峠を経由し金山を目指します。

金山の南側に広がる庭園のような明るい林のあたりで春の草花を期待しましたが、ミヤマナルコユリもホウチャクソウもまだまだつぼみでした。

急登でミツバツツジのピンクに出会うと少しホッとします

 

アカガシの森の林床にはツルシキミの花が咲いています。

同時に赤い実がなっている株もあります。

ツルシキミ(ミカン科)の花

ツルシキミの実

稜線のやや乾いた土の上にはカンアオイがたくさんあります。

カンアオイも色々な変異があり、判別は難しいのですが、おそらくウンゼンカンアオイかと思います。

カンアオイは葉の鵜hの入り方が様々で愛好家も多いようですね。

葉の感じはシクラメンに似ていますが、全く別の仲間です。

カンアオイはウマノスズクサ科、シクラメンはサクラソウ科だそうです。

カンアオイ(多分ウンゼンカンアオイ)

じつは春から初夏はカンアオイの花の時期なんです。

どんな花かというと・・・

これがカンアオイの花

ちょっとわかりにくいですが、茶色とか濃いエンジ色で非常に地味です。

この花の受粉の媒介をだれがやっているのかはっきりしていないようです。

花は葉の下に完全に隠れているので風媒介や蜂や蝶は考えにくい。

カタツムリやナメクジ、ヤスデ、またキノコバエの例もあるようですが…

興味のある方はじっくり研究してみると面白いかもしれませんね。

 

これもちょっと変わった植物・・・

ギンリョウソウ(ツツジ科ギンリョウソウ属)

ギンリョウソウは腐生植物で、主に照葉樹林の林床に積もった腐葉土から出てきますが、腐葉土からではなく周辺の樹木の根に菌根をつくっているキノコに寄生しキノコ経由で樹木が光合成によってつくった養分を分けてもらっているようです。

自分で光合成をしないので葉緑体を持たず真っ白です。

この生態からキノコの仲間と間違われて「ユウレイタケ」という別名もあります。

ところで、ギンリョウソウは「イチヤクソウ科」と覚えている方も多いのではないでしょうか?

私もそう思っていましたが、調べると最近主に使われている分類法ではツツジ科ギンリョウソウ属となっているようです。

 

ホウチャクソウ(イヌサフラン科チゴユリ属)はまだつぼみ

ニョイスミレ
これは最もよく見かけるスミレです

 

ヒロハテンナンショウ(サトイモ科テンナンショウ族)

ヒロハテンナンショウは福岡県のレッドデータブックで絶滅危惧ⅠAに指定されていて、福岡県付近が自生の南限にあたるそうです。

見ての通りマムシグサと同じ仲間でサトイモや夏が来れば思い出すミズバショウも仲間です。

サトイモと同じように地下に芋(天南星)ができますが、毒を持っていて食べると口の中に無数の針が刺さったような痛みが出るそうです。

この仲間で食べられるのはサトイモだけですね。

 

アケビの花(アケビ科)

ベニドウダン(ツツジ科ドウダンツツジ属)のつぼみ

ナワシログミの実

アカガシの森の中でナワシログミの実がなっているのを見つけました。

色はまだ薄いようですが少しつまむと柔らかかったので口に入れてみましたが

まだ酸っぱい!

 

コバノガマズミ(レンプクソウ科)にハナカミキリ

コバノガマズミの花もぼちぼち咲き始めています。

写真を撮って、後でよく見たら花の上でカミキリムシが交尾をしているようです。

ハナカミキリの仲間でしょうか?

 

サルトリイバラ(サルトリイバラ属)

サルトリイバラにも花がついていました。

秋の赤い実はリースを作るときに使うことも多いようですが、九州ではカシワの葉の代わりに餅を包んでこれを「かしわもち」と呼ぶ地域も多いようです。

 

さあ、連休も始まりました。

そろそろ花の季節真っ盛りとなりますね。

当然蝶やトンボなどの昆虫もでてきます。

毎週山へ出かけるのが楽しみです。

               2022年4月30日山行

 

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