しろ鹿 脊振の山散歩

かけだし森林インストラクターのぶらぶら山散歩

虫たち

コバノガマズミの花

先日のゴールデンウィーク中は山の人出も多そうだったので、脊振山麓をうろうろと、山登りではなく散歩してきました。

ある場所で森の周辺の日陰にコバノガマズミが咲いていたので写真を撮っていると花の上にいろんな虫たちが来ているのに気付きました。

カバイロコメツキ

まずはカバイロコメツキ。

その名の通りコメツキムシの仲間です。

花粉や葉を食べるているようですが、昔から桑の苗等農作物を食害する害虫とされているようです。

捕まえてひっくり返してペコンと飛び上がるのか試したかったのですが小さいし素速いし…

すぐ逃げられました。

 

 

キバネホソコメツキ

次に同じコメツキの仲間でキバネホソコメツキ。

これも花粉を食べに来ているようですが、食害の情報はあんまり無いようですね。

ただこの辺りの仲間は生態がわからないものが多いので…どうなんでしょうね。

 

 

ヒメアシナガコガネ

次はコガネムシの仲間でヒメアシナガコガネ。

広葉樹の葉っぱをよく食べるようですが、クリやリンゴなどの果樹の花を食い荒らしたり、幼虫は芝の地下で根を食べるため芝生の害虫としても知られているそうです。

かわいらしいんですがねえ…

たまたま人間の生産活動とかぶってしまうので「害虫」と言われますが、向こうも生きるためですのでやむを得ないですね。

そういえば以前に見学した平戸の「たびら昆虫自然公園」では、構内に畑があって農作物も植えてあるんですが、ここでは昆虫が主役ですから作物も収穫せず伸び放題でこれにたくさんの昆虫が集まっていました。

昆虫は特に人間の活動と重なることが多いので、丁度良いところで共存できればいいですね。

次も「害虫」…?

トゲヒゲトラカミキリ

カミキリムシの内、ハナカミキリ虫の仲間でトゲヒゲトラカミキリです。

「トゲ」と「ヒゲ」と「トラ」の順番間違えそうです。

小さなカミキリムシですがきれいな模様ですね。

これも花粉を食べにやってきているようですが、幼虫がヒノキ等のいわゆる「とびくされ」の原因になっているとも言われているそうです。

幼虫はトチノキやらヒノキ、アスナロなどの枯れ枝から入り込み幹の中に穿孔してその食痕から材が腐植したりするそうです。

…まあ、当然過剰に増えなければある程度は自然の営みでもありますし、もし異常発生することがあれば、環境破壊などが原因である可能性が高いので回り回って人間のせいということにもなるのでしょうね。

 

フタオビチビハナカミキリ

次もハナカミキリ虫の仲間でフタオビチビハナカミキリ。

虫や植物の名前で「小さい」という意味では「コ(小)」がついたり「ヒメ」がついたりしますが「チビ」ってそんな直球で…(笑)

ただフタオビヒメ(またはノミ)ハナカミキリという呼び方もあるようです。

これはあまり「害虫」としての情報は見かけませんね。

カミキリムシの幼虫はほぼ木材を食べるのですが枯れ木を食べるものもあり、これはあまり人間の生産活動とはかぶらないので「害虫」にはならないのかも知れません。

生態自体がわかってないのかも知れませんが。

 

チャイロヒメハナカミキリ

次もハナカミキリ虫の仲間です。

この幼虫は枯れ木を食べるようです。

いずれにしてもこれらの昆虫は樹木の中のいわゆる食物繊維であるセルロースなどを食べて細かくして、あとあとキノコなどの菌類がこれらを分解しやすくして森の土壌を豊にする役割を担っているので人間にとって「害虫」でも森の生態系の中では大切な存在であります。

もちろん、生態系の中で昆虫を食べる小動物たちのエサとしての役割もありますし。

こういったひとつひとつの生き物たちが絶妙なバランスで共存しながら成り立っているのが森であり地球全体の自然環境でもあるのです。

 

ところで、こことは別の場所で面白いチョウチョを見つけました。

下の写真の中にいる蝶、わかりますか?

どこかにチョウチョが…

そう、ちょうど画像のまん中あたり

クロコノマチョウ

森の中にいるチョウチョでタテハチョウ科のジャノメチョウの仲間でクロコノマチョウです。

廻りの落ち葉に擬態していますが、よほど自信があるのか30㎝くらいまで近づいてもピクリとも動きません。

「いや、おれ枯れ葉だから…いや蝶じゃないよ…」てな感じでしょうか(笑)

翅の表にはジャノメ模様があるそうですが、何しろ警戒中なので見せてくれません。

実はこの蝶を見るのは2回目なのですが、表側は見せてもらったことがありません。

しかし、なかなか見事な擬態ですね。

幼虫の食草はジュズダマだそうです。

 

先ほど昆虫たちを食べる小動物のエサ…という話をしましたが、こんな植物もいます。

モウセンゴケ

食虫植物のモウセンゴケです。

葉の先にある毛から甘いにおいのする粘液を出してこれによってきた小さな虫を溶かして吸収します。

5月には小さな白いかわいらしい花を咲かせるのですが、この日はまだつぼみもありませんでした。

花粉の媒介はやはり虫がするそうですが、モウセンゴケって花粉を運んでもらったりエサとして食べたり、虫を利用しすぎですね(笑)

ただ、そんなモウセンゴケにも天敵がいるそうで、消化粘液に耐性をもつ昆虫の幼虫がモウセンゴケを食草にしているそうです。

食物連鎖って面白い。

 

今回はほとんどひと株のコバノガマズミの花のまわりだけをネタにしてしまいましたが、決して手を抜いたわけではありません。

小さな花にたくさんのこれまた小さな昆虫たちが来ていたのでこれは是非皆さんに見てもらいたいと…

では、また。

 

ふくおか森林インストラクター会 | ふくおか森林インストラクター会は地域の人々に自然や森林の大切さを伝えています。