人出の多い連休中を避け連休1週間後の井原山に出かけました。
新緑の水無谷を歩きます。
木々の新緑ももちろんですが、沢の苔の緑も鮮やかです。
水無谷にはコクサギが多く、春先から柑橘系のさわやかな香りが香っています。
コクサギは葉っぱのつき方が変わっています。
上の写真を見て下さい。
基本的には葉っぱが互い違いにつく「互生」ですが、よく見てください。
1枚ずつではなく2枚ごとに対生になってます。
これを「コクサギ型葉序」と呼びます。
他に脊振でみられる樹木の中ではヤブニッケイも時々コクサギ型になることがあります。
沢沿いにはもう花の終わったコンロンソウの葉が生い茂っています。
ミツバツツジの花も終わって沢の草花も端境期に入っていますが、それでも春の花が咲いています。
カキドオシとラショウモンカズラは同じシソ科の花でよく似ています。
カキドオシの方が花が小ぶりです。
サイハイランも咲いています。
…これでも、咲いているんです。(笑)」
大昔、戦(いくさ)で大将が振るう「采配」に似ているとのことでこの名前になったそうです。
地味ですね。でもランの仲間です。
葉っぱは1枚だけ、1年中ペロッと出ているのが見られます。
クルマムグラはアカネの仲間らしく葉は輪生していますが、この輪生した葉が車のように見えるので車葎…葎(むぐら)とは草やぶなどの意味があります。
その名の通り葉が特徴的で面白いですね。
ヤブデマリの花が咲いていました。
ガマズミやムシカリの仲間で、同じように小さな花がたくさん集まってつきますが、アジサイのように花の周りに装飾花(萼片)があります。
そのヤブデマリの花にも小さなカミキリムシが来ています。
ハナカミキリムシの仲間でヨコモンヒメハナカミキリです。
一生懸命花粉を食べています。
他にも虫たちが出てきています。
やっぱり春は楽しいですね。
日当たりの良い登山道にニワハンミョウがたくさん出ています。
コウチュウ目オサムシ科ハンミョウ亜科ということのようです。
…オサムシの仲間にされているんですね。
肉食で昆虫やミミズを食べる虫です。
昔は街中の路地に翅の美しいハンミョウをよく見かけましたね。
路地を歩いているとふわーっと飛んで少し先にとまって、ひとが近づくのを待って、また少し先に飛んでいくので「みちおしえ」と呼ぶこともあるようです。
そのハンミョウの仲間ですが、このニワハンミョウは「ニワ(庭)」という名前の割に町中ではなく山にいます。
同じようにひとが近づくと少し先に飛んで地面にとまります。
トンボも色々出てきていますね。
イタドリの葉にダビドサナエがとまっていました。
沢ではヤブヤンマのメスかな?
尻尾をあちこちの草の茎にくっつけて卵を産み付けているようです。
こっちはカメムシですね。
カメムシにはあまり関わりたくないので(笑)写真だけ撮っておきます。
ただ、カメムシでもキンカメムシの仲間なんかは見た目が派手で美しいですね。
また見かけたら画像を載せますね。
この時期山道を歩いていると上から細い糸で小さな毛虫がぶら下がっていることがあります。
大概エダシャクガの幼虫のような気がしますがこれもエダシャクの仲間です。
ヒメノコメエダシャク…かな?
シャクガとは幼虫が尺取り虫の蛾ですね。
尺取り虫は枝に擬態する茶色い地味なものも多いのですが、このように少し派手目の幼虫もいます。
キツネノカミソリ(オオキツネノカミソリ)の群落地は葉っぱが枯れてしまいこんな感じになってます。
7月終わり頃には葉が消え去った林床からオレンジの花がたくさん出てくることでしょう。
ケヤキの森もうっそうとしてきましたが、やっぱり落葉広葉樹の森は爽やかですね。
このあと急登を登って尾根に出ますがまだ少しコバノミツバツツジの花が残っていました。
稜線や尾根筋にも花が咲いています。
麓より稜線でよく見かけるフモトスミレ。
稜線で日当たりの良い乾いた土の上にはヒメハギが咲いています。
ヒメハギ科またはマメ科。
山頂に着いたときはガスが出ていましたが、しばらくするとガスも晴れて天気は回復してきました。(冒頭の写真)
ツチアケビも芽を出しています。
登山道脇なので毎年心配していますがちゃんと毎年地味な花と秋には不思議な実を見せてくれます。
他にも可愛いミヤマナルコユリ
それから、ヒメナベワリも花をつけています。
この日は風が強くて写真を撮るのに30分頑張りましたが、なんとか見れる写真は2、3枚…
最後に「ヒメ」つながりで、この時期沢沿いにたくさん咲いているヒメレンゲの可愛い写真を。
5月14日山行 しろ鹿