梅雨明けから続く猛暑の中、木陰と沢の水音を求めて金山へ出かけました。
滝川谷の登山口から入山するとスギ林を抜けすぐに大きな滝が現れます。
登山口付近には少し貧弱なハナイカダの木があります。
ハナイカダは、葉の葉脈から花が咲き、そのまま葉の上に実が付きます。
葉っぱの上に花が乗っている様子から「ハナイカダ」の名前が付いたそうです。
この実がもうしばらくすると黒く色づきなんとも風情のある姿になります。
滝川谷は花乱の滝の上流の沢沿いに進む登山道で、その名の通り大小の滝や美しい沢の風景が見られます。
2週間前には登山口付近だけでしたが、今週は上流の源流部までヤマアジサイの花が咲き誇っています。
おそらく何度も紹介していますが、アジサイは真ん中の小さなつぶつぶが花で、周りの4枚の花弁のようなものは萼片が変化したもので「装飾花」と呼ばれます。
花粉を媒介してくれる虫たちに花をアピールするためのものといわれていて、面白いのは受粉が終わるとこの装飾花は下を向いてしまいます。
岩の上にもぞもぞと動くものがいたのでよく見ると…ヘビです。
アオダイショウが光の加減で真っ黒に見えたのかと思いましたが、調べてみるとシマヘビの黒化型の個体のようです。
シマヘビは比較的臆病で、少しでも人の気配を感じるとすぐに逃げていきます。
毒もないので、子供のころは捕まえてしばらく飼っていたこともあります。
…今は考えられませんが(苦笑)
黒化型とは、変温動物であるヘビが体温を維持するために太陽光から熱を得やすい黒色に体色を変化させた個体ということのようです。
シマヘビはふつうは縦じまの模様なんですけどね。
沢沿いの少し開けた場所にはハンカイソウの花が咲いていました。
1mを超える高さになる大きな花です。
中国古代の楚漢戦争で漢の高祖劉邦の配下の武将「樊噲(はんかい)」に由来するという話もありますが…なんでかなあ?
しばらく行くと、昨年から目をつけていたツチアケビが花を咲かせていました。
そう珍しい花でもないのですが、最近は少なくなってきました。
ツチアケビはランの仲間で、見ての通り葉緑体がありません。
ギンリョウソウと同じく腐生植物で、菌類(ナラタケ)と共生しています。
それでも花を見るとラン科の気品を主張しているような気がしますね。
秋に真っ赤で大きなバナナのような実をつけるので、これをアケビの実にみたてて「ツチアケビ」と名付けられたようです。
実と言えば…
先々週には花を咲かせていたマタタビがもう実になりつつあります。
さらに沢沿いの道を進みます
これは先々週の画像ですが、ツルアジサイが咲いていました。
よく似たイワガラミは林道沿いなどでよく見かけますがツルアジサイは比較的珍しい花です。
これはよく見かける花ですが、シソ科のヤマトウバナです。
沢沿いで小さいながら白い花が目立ちます。
沢の水辺にはトンボたちも沢山飛び交っています。
数年前の小規模な土石流でできたギャップの開けた場所にオオシオカラトンボがなわばりを作っていました。
これも先々週からよく見かけていたトチバニンジンです。
葉っぱが掌状でトチノキに似ているので…という話は先日しましたね(苦笑)
沢を詰めて源流部が近くなって沢をのぞいてみるとブチサンショウウオの幼生が出てきています。
いつ干上がってもおかしくない小さな水たまりで微妙な環境の中頑張って生きています。
また、違うトンボたちがいました。
標高が上がって稜線に近づくと林床にニシノヤマタイミンガサの群落があります。
ヤブレガサ、モミジガサの仲間です。
春の芽吹きのころは小さな傘がたくさん開きかけている状態でかわいらしいんですが、ここまで大きくなると圧巻です。
山頂下の登山道脇には…多分アカショウマでしょうね。
沢山咲きはじめています。
花は白色ですが茎や葉柄の付け根が赤いのでアカショウマだそうです。
下山後の林道沿いにはネムノキの花が盛りを迎えています。
ネムノキは夜になると同じ仲間(マメ科ネムノキ亜科)のオジギソウのように葉を閉じてしまうので眠りの木から名前が付いたようです。
オジギソウは触ったら葉を閉じますが…あんな感じです。
最後におまけで沢の風景をもう一つ
猛暑が続くので、そろそろ沢歩きに出かけましょう。
2022年7月2日山行