しろ鹿 脊振の山散歩

かけだし森林インストラクターのぶらぶら山散歩

7月の脊振

椎原谷の沢

気が付けばずいぶん更新をさぼってしまっていました(苦笑)

…ちょっと仕事が立て込んで…(言い訳)

とはいえ、脊振にはぼちぼち、いや、毎週出かけていましたのでネタはあります。

先々週には両生類好きの森林インストラクター仲間に脊振のブチサンショウウオを紹介するために下見やらで、脊振山と金山のあたりをうろうろと…

まずは7月中に出会ってきた植物たちです。

 

登山道脇にアカショウマの花が咲いていました。

アカショウマ(ユキノシタ科チダケサシ属)

アカショウマは葉っぱの柄(葉柄)や茎の根元が赤いことからついた名前で花は白色です。

同じ「ショウマ」の名がついているサラシナショウマはキンポウゲ科なので名前は似ていても違う仲間ですね。

 

林道にはウツボグサの花が残っていました。

ウツボグサ(シソ科)

小花の形が武士が背負う「うつぼ」(矢入れ)に似ているので名前が付いたようですが、同じシソ科のタツナミソウなどに似ていて、まさにシソ科という感じです。

漢方の薬草として用いられているそうです。

花も終わりかけなので色も姿も貧弱な感じですね。

 

日当たりの良い稜線や林道沿いにはオカトラノオが花盛りです。

オカトラノオ(サクラソウ科)

花(花序)の形がトラの尾のような形なので…ということのようです。

脊振でみられる「トラノオ」の名がつく草花では他にハルトラノオがありますが、こちらはタデ科なので、これまた名前は似ているけど違う仲間ですね。

他にもシソ科やゴマノハグサ科の「トラノオ」もあるそうです。

サクラソウの仲間(サワトラノオ等々)は花序全体の雰囲気は少し違いますが、小花の花弁が5枚でよく似た感じです。

 

スギの林にはヤブミョウガが咲いています。

ヤブミョウガ(ツユクサ科)

「ミョウガ」の名前は葉っぱが似ているからで、ミョウガやハナミョウガはショウガ科なので、これも違う仲間です。

花や樹木、虫も和名は見た目などで名前が付くので名前が一緒でも種が違うというものが多いですね。

…そういえば、ハナミョウガの花はまだ咲いていないなあ。

 

次は…

オニコナスビ(サクラソウ科)

この花は県内ではもう脊振にしか残っていません。(福岡県RDB 絶滅危惧ⅠB)

以前は那珂川町や東峰村にも自生地がありましたが、すべてダムの底に…

九州では大分県、熊本県にも自生地があるようですが、現在残っているのかは確認されていないようです。

植物が絶滅危惧や絶滅に至るには色々な原因があります。

環境変化、台風・豪雨などによる自生地の崩壊、盗掘…

絶滅危惧種に指定されるとすぐに盗掘と決めつけ、ほかの登山者とトラブルになっている話も聞きますが、盗掘が深刻なのは、咲き姿が美しく高額で売れるエビネ等ラン科の植物やオキナグサ等で、ほとんどは専門業者によるものと言われています。

盗掘はもちろん言語道断ですが、そのほかの理由による絶滅危惧化もすべて人間の責任と考えるべきで、ほかの人ともめている場合ではないものと思います。

逆に脊振にはこのような貴重な宝物が生きていることを知って、大切に残していくことを考えなければいけませんね。

 

ヤマアジサイも咲いていました。

ヤマアジサイ(アジサイ科)

 

稜線の森の足元にヤブコウジの花が咲いています。

ヤブコウジ(サクラソウ科ヤブコウジ属)

 

ヤブコウジは秋に小さな赤い実がかわいくて目立ちますが、花も地味ながらかわいいですね。

一応樹木の仲間(木本)ですが、他の樹木のように大きくなりません。

これもサクラソウの仲間になっています。

各々属が違いますが、見比べると面白いですね。

 

足元に白いプロペラがたくさん落ちていたので見上げると…

テイカカズラ(キョウチクトウ科)

つる性の植物で照葉樹の幹に沿ってどんどん登っていき、日の当たる高い場所に花を咲かせるので、山を歩いていてもなかなか気づきません。

いつも地面に落ちているプロペラのような形の花を見つけて初めて気が付きます。

 

さてさて、夏から秋に向けて実をつけ始めている木々がたくさん見られます。

ホオノキ(モクレン科)の実

朴葉焼きや朴葉みそで有名なホオノキが大きな葉っぱの真ん中にドリアンのような実をつけていました。

 

アブラチャン(クスノキ科)の実

全体に油分が多い木で、種も火をつけるとながく燃え続けるそうです。

脊振では近い仲間のシロモジ、クロモジと共によく見かける樹木です。

 

カラスウリ(ウリ科)の実

林道沿いではカラスウリの実を見かけます。

葉っぱからモミジカラスウリのようです。

秋になるとこの実がオレンジ色に色づきます。

生け花で使われることもありますよね。

食用にはされませんが、薬用には使われるようです。

 

今年はブナの実豊作かな?

ブナの実

稜線のブナの森では実がついている木があります。

ブナは5~7年の周期で豊作の年があり、これはほぼ全国的に同じ時期になるようです。

脊振ではここ数年ブナの実をほとんど見かけませんでしたので、今年は少し期待できそうです。

ただし、豊作年の実はあまり発芽しないらしいので…脊振のブナ林はどうなるのやら?

日本のブナ林は林床にササが多くなかなか発芽しにくく、また人工的に発芽させることも非常に難しいそうです。

 

サワフタギ(ハイノキ科)の実

初夏に白い花を咲かせていたサワフタギも小さな実をたくさんつけています。

脊振の稜線にたくさん見られるサワフタギはおそらく「タンナサワフタギ」かと思います。

ミツバツツジやネジキ、ツゲやリョウブ等の木々に混じってたくさん見られます。

 

今回は7月に見かけた植物たちを紹介しました。

次は虫や小動物たちを紹介しますね。

 

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