しろ鹿 脊振の山散歩

かけだし森林インストラクターのぶらぶら山散歩

ミヤマキリシマの九重へ

1年ぶりテント担いで、くじゅう坊がつるへ

 5月はなんだかんだで忙しくて、6月に坊がつるでテント泊となると、晴天が見込める初旬はミヤマキリシマの時季になってしまいます。

 ということで、少しでも人出の少なそうな平日に出かけました。

 …それでも、やっぱり人が多い。

 

今年も急に思い立っての山行なので、吉部登山口からのお気楽ルートで坊がつるを目指します。

くじゅうの各登山口には登山届ポストがあります

 地元の方が経営しているらしい有料駐車場に車を止めて、吉部登山口へ

スギ林の中の登山口には登山届ポストがあるので、登山届を記入して入山します。

 

このルート唯一の急登を登ると、とても明るいスギ林の中

スギ林の中の道

スギ林を抜けてミズナラの森に入ると左手の斜面の下から沢音が聞こえてきて

しばらくいくと、暮雨の滝へ下りる道が現れます。

暮雨の滝

草原や岩ゴロゴロのイメージのくじゅうの中では、この美しい滝は特別な場所かもしれません。

 

暮雨の滝を過ぎて、斜面をトラバースする道の脇には、色々な花が咲いています。

バイケイソウ(シュロソウ科)

バイケイソウは、脊振でも見られます。

この花を見ると深い山に入ってきた感じがしますねえ。

アルプスや谷川岳などの高山ではこの仲間のコバイケイソウがたくさん咲いています。

 

 

ガマズミ(ガマズミ科)

サワフタギ(ハイノキ科)

夏が近づくと白い花が多くなりますね。

ガマズミやサワフタギの花が咲いていました。

 

しばらく行くと、突然広い草原(湿地帯ですが)に出ます。

坊がつるの北の端です。

坊がつるから平治岳を望む

坊がつるの北の端から平治岳の姿が見えますが、山頂付近の稜線はピンクに染まっているのがわかります。

 

広い坊がつるの草原にはホオアカがたくさんさえずっていました。

ホオアカ

 

テント張りました

テント場にはハルリンドウがたくさん咲いていました。

ハルリンドウ(リンドウ科)

ハルリンドウは、脊振でよく見かけるフデリンドウに似ていますが、茎の下の方に「根生葉」があるので違いがわかります。

フデリンドウには、茎の根元に葉っぱはありません。

あと、花の色がフデリンドウに比べると、優しい水色なんですね。

 

サワオグルマ(キク科)

湿地帯にはキンポウゲやハコベもたくさん咲いていましたが、サワオグルマもあります。

 

やっぱり坊がつるもテントが多いですね。

坊がつるのテント場

まあ、それでもアルプスあたりのテント場に比べると広いし、空いている方なんでしょうね。

テント場から平治岳を望む

三俣山上空の雲

陽が三俣山の向こうに落ちると空にきれいな雲が出てきました。

今夜の星空はどうでしょう?

 

坊がつるの夜景

暗くなってテントの明かりはきれいなんですが、空には羊雲がたくさん出てきて、半月も明々と…

星はほとんど見えませんでした。

 

翌朝は、5時前に起床で、今回は平治岳を目指します。

5時にはすっかり明るくなっていて、登山口の森に入ってもヘッドランプもいらないくらいです。

なんとなくだらだらと続く森の中の登りをあがっていくと明るい草原の中にでて、さらにしばらく行くと、大戸越(うとんごし)と呼ばれる峠に出ます。

ここは、まっすぐ行くと黒岳方面へ、右(南)に行くと北大船へ、そして左(北)が平治岳への急登になります。

大戸越から見上げる平治岳の南斜面

ミヤマキリシマのピンクの中、山頂への登山道を上っていくと…

もう、何も言うことはありません。

見事!

下から見上げる斜面も素晴らしいのですが、山頂付近は…

見事!!

 

そんな派手なピンク色の中、誰も気付いていないのですが…

ベニドウダン(ツツジ科)

シロドウダン(ツツジ科)

ベニドウダン、シロドウダンもかわいい花をつけています。

ここでは地味すぎますね。

 

ひとしきり写真を撮って、坊がつるに戻るとさっさとテントを撤収して、人が増える前に下山しました。

 

途中チョウチョが舞っていたので、よく見るとテングチョウでした。

テングチョウ

触角の付け根付近に目があって、そこが頭ですが、その先にびよーんと天狗の鼻が伸びてます…わかりますか?

面白い姿の蝶です。

 

森の中で何株か見かけたのですが、これなんだかわかりますか?

シカの食害

多分、カツラの木かと思いますが、樹皮を1周ぐるっとかじられて、立ち枯れしてしまっています。

樹木は、樹皮のすぐ内側付近に形成層や師部・師管という生きていくために大切な部分があります。

形成層は、樹木が横に生長するために細胞分裂を行っている場所、師部は葉っぱで光合成をしてつくった栄養を蓄える場所、師管は栄養を運ぶ管。

ちょっとくらいかじられてもなんとかなりますが、こんなにまるっとかじられてしまうと、生長できないどころか、栄養のやりとりができなくなって、死んでしまいます。

まあ、シカにとってはそれだけおいしいところなんでしょうが。

このシカの食害は全国の森で大問題となっています。

祖母山系ではもっとひどい食害を見かけました。

一概には言えませんが、ひとつの大きな原因として生態系の破壊があると言えます。

例えば、ニホンオオカミが絶滅したことであったり、数量調整に一役買っていた猟師やマタギが少なくなったことなどなど。(人間も生態系の維持に関わっていた)

何しろシカやイノシシの数が減る要因がほとんどありません。

数が増えれば食べ物が必要。

そうなると、今まであまり食べなかったものも食べざるを得ない。

もちろん、他にも温暖化による環境変化など、色々なことが絡み合っての結果ですが。

いろいろと考える必要がありますね。

…と、環境についていろんな方面から考えつつ、今日はこれまで。

でも、ミヤマキリシマは、ほんとうにきれいでした!

 

2025年6月5日、6日山行

ふくおか森林インストラクター会 | ふくおか森林インストラクター会は自然や森林の大切さを伝える活動をしています。