しろ鹿 脊振の山散歩

かけだし森林インストラクターのぶらぶら山散歩

初秋の井原山 水無渓谷

井原山の上にうろこ雲

 ここのところ、小学校関係の自然教室やら、自然ガイドの講習会やら森林インストラクターのお仕事がたて込んでいて、あまり脊振にも出かけられなかったのですが、土日が空いたので、軽めの井原山へ出かけてきました。

 やはり、1時間あまりで山頂に行ける水無渓谷のコースは、手軽でありながらたくさんの自然にふれあえる素晴らしいコースです。

 

 水無渓谷には、そこそこの規模の鍾乳洞があります。

 現在は立入を禁止されていますが、20年ほど前に入口から10mくらいまで入ってみたことがあります。

 有名な鍾乳洞のように整備されていないのでヘッドランプ付けて足下もつるつるで…自然そのままの洞穴でした。

 登山口から沢沿いを歩いて行くとあちこちに石灰岩がごろごろしていたり、沢沿いに石灰岩の層が見られたりします。

水無渓谷の沢

片岩と石灰岩の層

 山頂方面に向かって沢の右側に石灰岩の層が見られます。

 上の写真で下半分の白っぽいところが石灰岩、上の黒っぽいのは片岩の層のようです。 

 

新村別れへの分岐の大きなカヤの木

 少し登って鍾乳洞の第2入口付近、新村別れへの分岐に大きなカヤの木があります。

 この沢沿いには、カヤやイヌガヤの幼木をたくさん見かけますが、こんな立派なカヤはあまり見かけませんねえ。

 

 ケヤキの大木もよく見かけます。

こうぞ岩横の大ケヤキ

 これは、コウゾ岩の手前の大ケヤキです、

 奥にコウゾ岩(フクロウ岩)が見えます。

 コウゾ岩の下の流れは石灰岩層から流れ出る水で飲むことができます。

 

沢沿いにはたくさんのミゾソバが花を付けています。

ミゾソバ(タデ科イヌタデ属)の花

白花のミゾソバ

 一見雑草のような植物ですが、よく見るとかわいらしい花がたくさん咲いています。

 色も薄いピンク、ピンクと白、白花…

 よく似たママコノシリヌグイもありますが、葉の形からミゾソバかと思います。

 でも、微妙なものもあるのでママコノシリヌグイも混ざっているかも… 

 

 秋なので色々な樹木の実も付いています。

アブラチャンの実

カナクギノキの実

サルトリイバラの実

ツチアケビの実
樹木じゃないけど…

イヌガヤの実

ケヤキの森は、まだまだ緑です。

ケヤキの森

 このケヤキの森は本当に気持ちのいい場所です。

 

 稜線に出ると気持ちのいい秋空が

井原山山頂から福岡市内を望む

秋の花も咲いています。

アキチョウジ(シソ科ヤマハッカ属)

キツリフネ(ツリフネソウ科)

ツリフネソウ(ツリフネソウ科)

 ツリフネソウはいつ見ても面白い花です。

 キツリフネに比べて、ツリフネソウの方がピンクが派手でちょっと…あまり…

 でも、この上の写真の花は上品なピンクできれいですね。

 

またまた、アキノギンリョウソウ。

ギンリョウソウ(ツツジ科シャクジョウソウ属)

 

山頂付近のササの中にツルリンドウが咲いていました。

ツルリンドウ(リンドウ科ツルリンドウ属)

この花も井原山山頂にはたくさんあったんですが、この日ササの根元を探し回って、このひと株だけでした。

こんな、「普通」と思っていた花たちもずいぶん減ってきたように感じます。

 

下りはアンノ滝方面から、途中で水無側に下りる尾根道を行きます。

尾根の照葉樹の森

ケヤキの根元に…

センチコガネ

センチコガネはまだまだ頑張ってます。

少し元気なさそうでしたが…

 

沢沿いのイロハモミジの葉

 この時期はまだ夏と秋の狹間の端境期のようですね。

 10月に入ると秋の花も咲き誇ると思います。

 涼しくなるし、楽しみですね。

 

 2,022年9月24日山行

 

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初秋の金山滝川谷へ

 

滝川谷の沢

台風一過で気温も下がり秋の雰囲気を求めて金山に出かけましたが…

平地で最高気温33~34℃、沢沿いは涼しいけど少し沢を離れると…ほぼ夏。

まあ、それでも山の植物や生き物達は秋モードになりつつあるようです。

 

金山から脊振の間は所々切れてはいるものの、林道ができているのでこのルートも最近は花乱の滝をパスして直接登山口に向かってしまいます。

花乱の滝からのガッタガタの林道を歩くのもなかなかいいんですけどねえ…

 

登山口の急登にとりついて、暫く杉林を歩いて行くと少し大きめの滝が現れます。

なかなかの迫力で毎回写真を撮ってしまいます。

杉林を抜けると大きな滝が迎えてくれます

コース入口の橋

その後、なんとなく雰囲気のある橋を渡るとすぐにスギの巨木が迎えてくれますが、沢沿いに下りてしまうと気付かずに通り過ぎてしまうかも知れません。

大杉

昨年初めてこのスギの木の存在に気付きましたが、何度見ても迫力と趣があって感動します。

 

今日の目的のひとつは、そろそろ開花している筈のアケボノシュスラン。

アケボノシュスラン(ラン科)

株はたくさん見かけますが花が少ない。

…と、やっと見つけた花はまだつぼみでした。

もう1週間くらいかな?

まあ、今年も元気に咲いてくれそうでなにより。

 

ついでに横に咲いていたヤマホトトギス。

ヤマホトトギス(ユリ科ホトトギス属)

週初めに通過した台風11号で降った雨の影響か、今日は沢の水量が少し多いように感じます。

 

沢沿いの道をどんどん登って、数年前の豪雨か台風で土砂が流れ込んでできた沢沿いのギャップにどう見てもミズタビラコの花が咲いています。

ミズタビラコ(ムラサキ科)

ミズタビラコは5月頃が花期なんですが…

同じキュウリグサ属の仲間の花を調べましたが、ほとんど5~6月が花期なのでどれも当てはまりませんし、葉や花穂の様子もミズタビラコで間違いないと思うんですけどねえ…???

こんな小さな草花で狂い咲きってあんまり見ませんけど。

なにか他の花の可能性などご存じの方、教えてください。

 

そのミズタビラコらしき花の横に…

ハシカグサ(アカネ科)

ヤマトウバナかと思ったら、ハシカグサのようです。

これも小さい花ですが、茎が匍匐してどんどん増えていってる感じです。

花は可愛いですね。

 

ミズヒキ(タデ科)

赤いミズヒキがたくさん咲いていたので、玉ぼけ背景でぱちり。

向こうのミズヒキが赤い玉になってきれいかなと思ったけど、玉ぼけをもう少しはっきりさせれば良かったかな。

 

きのこの山発見!

イヌセンボンタケ

明治製菓の工場か?!

てなボケは面白くないですが、ほんと、あの「きのこの山」のようなキノコですね。

調べたらイヌセンボンタケというキノコのようです。

毒は無いけど食べてもおいしくないそうです。

 

これはなんだ?

ゴマノハグサ(ゴマノハグサ科)…かな?

花の感じからセイヨウゴマノハグサによく似ているようですが、そうだとしたらもちろん外来の園芸種のようで、こんな山の中では見かけない筈なんですが。

ゴマノハグサもあまり脊振では見ませんねえ。

 

最後の急登を登り切り山頂から番所跡へ向かうと…

台風の威力

先日の台風の威力でしょう。

すこし朽ちかけていた環境省の案内板が吹き飛んでいました。

 

ツリバナ(ニシキギ科)の実

番所跡付近にツリバナの実が下がっていました。

マユミの実によく似ていますが、マユミは花弁が4枚で、実も四つに割れます。

このツリバナは花弁が5枚なので実も五つに割れます。

普通もっとたくさん実が付くんですけど。

 

山中地蔵方面に下りていくとアキノギンリョウソウ(ギンリョウソウモドキ)が咲いていました。

アキノギンリョウソウ(ツツジ科シャクジョウソウ属)

もちろん春から初夏に咲くギンリョウソウの仲間です。

違いはアキノギンリョウソウは花弁が裂けることと実が液果(普通の果実みたいになる)になることだそうです。

ギンリョウソウの実は蒴果というドライフラワーのような実になって種を飛ばします。

あと、見た目で言うとアキノギンリョウソウは所々枯れたように茶色くなって花が真上を向くものが多いように思います。

ただ、ギンリョウソウも花の終わりになるとまっすぐ上を向いて、茶色くなりますから、これは明確な特徴の違いではないのかも知れませんね。

 

登山道脇に大きなキノコが…

ガンタケ…かなぁ?

キノコはよくわかりません。

ガンタケかなあ…?ってなかんじです。

これもわかる方いらっしゃったら教えてください。

見るからにヤバそうなキノコですね。(笑)

 

あご坂峠に向かう道は背の高いアカガシ等照葉樹の森が続きます。

照葉樹の森の中の縦走路

オクモミジハグマ(キク科モミジハグマ属)

暗い尾根筋にモミジハグマの花が咲いていました。

これも今日の目的第2弾です。

おそらく、オクモミジハグマだと思います。

数年前もう1箇所、もっと見に行きやすいところに見つけたんですが、そこがどこだったか忘れてしまいました。(苦笑)

 

ミヤマウズラもたくさん咲いているかと思ったんですが…全然会えませんでした。

10年ぐらい前には金山の登山道脇にたくさん咲いていたんですが…

ん?盗掘?

あれだけあったんで、盗掘は無いと思いますけどねえ。

 

サラシナショウマも花穂を出してつぼみが付いていますし、今月の末辺りには脊振山地もすっかり秋の山になっていることでしょう。

 

2022年9月10日 山行

 

あ、ついに還暦になりました。(余談)

 

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くじゅうで出会ったお友達

今回のくじゅう山行で出会った、花、虫、ちょっと小動物もご紹介します。

(くじゅうテント泊山行の風景は前の記事をご覧ください)

大船山と坊がツル

まずは硫黄道路下のササ原でトンボに出会いました。

ミヤマサナエ…のような気がします。
ちょうちょ(クロヒカゲ)を捕まえています。

おそらくミヤマサナエかと思います。

クロヒカゲを捕まえてこれから食事というところのようです。

 

坊がツルにもトンボがいました。

ミヤマアカネ(左が♂、右が♀)
※画像クリックで大きな画像で見られます。

こちらはミヤマアカネのようです。

翅の帯模様と胸部が黄緑色なのが特徴的です。

赤い方がオスです。

飛び方も、すこしおぼつかない感じで4枚の羽根を前後交互に羽ばたいているのがよくわかります。(ま、写真じゃわかりませんが)

 

坊がツルの大船林道の脇にアケボノソウがたくさん咲いています。

アケボノソウ

花をきれいに撮ってあげようと思ったんですが、何しろたくさんのアリが…

実はこの花、花弁にある黄色い○が蜜腺になっていて、ここから蜜が出ているのでアリやハエたちがたくさん集まってきます。

上の2枚の内下の写真では、アリたちが黄色い○に寄ってきているのがはっきりわかります。

普通の花はおしべ、めしべの根本付近から蜜を出して虫たちに花粉媒介をさせるのですが、この花はちょっと変わってますね。

アリに受粉の媒介できるのかなあ…

 

大船山の山頂下の急登にツクシコウモリが咲いていました。

ツクシコウモリソウ

これは脊振では見かけることはありませんが、同じ仲間のモミジガサやコウヤボウキなどに花の雰囲気は似ていますね。(風があったのでかなりぶれてしまいました…(苦笑))

 

大船山の登山道脇にシモツケも花を咲かせていました。

シモツケ

ママコナ

ママコナは、立中山と雨ヶ池にたくさん咲いていました。

マツムシソウ

あと、雨ヶ池にマツムシソウが一輪だけ…

紫の花って秋のイメージですね。

9月、10月には草原一面に咲き誇るでしょう。

 

オオヤマレンゲの実

雨ヶ池から下っていくと登山道脇にオオヤマレンゲの木があります。

花は清楚で気品がありますが、実はやはりモクレン科ですね。

ホオノキの実を小さくしたような、ドラゴンフルーツのような実が付いていました。

 

飯田高原のタデ原に下りてくると…

コオニユリ(ユリ科)

この花によく似たオニユリは葉の付け根にむかごが付きますが、コオニユリにはこれがありません。

大きさでは区別できません。

 

サワギキョウ(キキョウ科ミゾカクシ属)

サワギキョウの花は脊振山麓の田んぼで見かけるミゾカクシによく似ているなと思ったら、同じミゾカクシ属でかなり近い仲間でした。

 

ヒゴタイ

タデ原の湿地ではありませんでしたが、長者原ビジターセンター裏の遊歩道脇に咲いていました。

 

ところで、今回ひとつちょっとしたエピソードが…

下の写真ぶれぶれですが

ネズミ君登場

夜中にテントの外で風もないのにゴミ袋のガサガサという音が。

外に置いているゴミ袋に鹿でも来たのかと外に出ると何もいない…

これを2、3回繰り返し、ふと見ると小さなネズミが下に置いていたゴミ袋を狙ってチョロチョロッと出てきては、ぴゅーっと逃げていくのを繰り返してました。

可愛いんですが、生態系への影響も考えてゴミの始末はしっかりしないと…反省です。

 

2022年8月27日、28日山行

 

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夏の終わりのくじゅうへ

今回は脊振はお休みで、遠征?(そう遠くもない)です。

まあ、くじゅうも地元の山ようなものですが、やはり風景が違うので気持ちが上がります。

ササ原の向こうに星生山

当初の予定では吉部の登山口から坊がツルに向かい、早めにテントを張った上で、白口か少し楽して立中山。

翌朝未明より大船山に登り御来光を…というつもりでしたが、諸事情でいつもの長者原→スガモリ越え→坊がツル(泊)→大船山御来光→雨ヶ池→長者原…というルートになりました。

とりあえず、コースの順番にくじゅうの風景をご紹介します。

 

三俣山西側の斜面

長者原から硫黄道路にあがり、硫黄山の谷からスガモリ越えに登る途中左手を見ると三俣山の斜面が見えます。

ほぼ45度の傾斜と行ってもいいでしょう。

この斜面を登る人はいませんが。

荒涼とした硫黄山

そして反対側は今でも噴煙が上がる硫黄山の風景です。

足下に時々きれいな黄色い石が転がっています。

硫黄です。

もともと、ここは硫黄の採掘場で、車が通れる道路も整備されています。

北千里浜

スガモリを越え少し下ると砂と石ころのこれも荒涼とした北千里浜です。

盆地状になっていて、硫黄山から火山性のガスが流れてくることもあるので、あまりのんびりも歩けません。

ゴリラ岩と大船山

北千里浜の東端は坊がツルへ向かって谷を下って行く道になりますが、その下り口手前の右手に「ゴリラ岩」が見えます。

一番上にボスがいて、その下に何頭かのゴリラが「猿だんご」ならぬゴリラだんごになっているように見えます。

その向こうには大船山の姿が見えてきます。

 

夏休み最後の土日となって、法華院温泉小屋も坊がツルのテント場も大盛況です。

坊がツルのテント場

テント場の夜

坊がツルの夜と言えば降るような星空ですが、日が暮れて空には雲が流れ込んできて、星は全く見えなくなりました。

翌朝早いので早々に寝ることにします。

 

翌朝は3時過ぎに人の声が聞こえはじめ目が覚めます。

外に出て空を見上げると見事な星空です。(写真はありません…)

たくさんの登山者がすでに大船山に向かって登り始めています。

大船山山頂

3時半に出発し暗闇の中約2時間で大船山頂です。

東側は低い位置に雲もありあまりきれいな御来光は拝めませんでしたが、360度雲海と朝焼けとで素晴らしい風景が広がります。

大船山山頂からの御来光

朝日を浴びる九重山塊(白口、稲星、中岳、天狗ヶ城、久住山等)
大船山の影が山麓にかかっています。

阿蘇五岳遠景

由布岳・鶴見岳遠景

北大船と米窪火口跡
以前は左側の平たいところが米窪と思い込んでいましたが、
右側の巨大なくぼみが米窪火口跡です

いつも御来光を拝んだ後はまっすぐ坊がツルに下りていましたが、今回は西側の立中山経由で下りてみようと思います。

分岐はすぐわかったのですが、一旦鞍部に下って、登り始めるとススキとミヤマキリシマが茂る道は所々見えなくなったり、おかしなところに踏み跡があったり…

所々ほぼアセビだけの林やノリウツギだけの林を抜けて、比較的緩やかな斜面を登り、なんとか広々とした山頂に到着しました。

まるで果樹園のようなノリウツギの林

アセビの林の不思議な風景

立中山山頂から中岳、白口岳を望む

鉾立峠から望む三俣山

下りは、西側の鉾立峠から法華院側へ

途中、2箇所白口岳の斜面の崩壊箇所からそのまま流れてきた土石流の跡が残る谷を渡ります。

白口岳北斜面の土石流跡
なかなかの迫力でした

法華院近くの木陰の木道

坊がツルでテントを片付けゆっくりしているといつの間にか昼に…

あとは雨ヶ池経由でゴールの長者原へ向かいます。

雨ヶ池

飯田高原 タデ原の湿原

雨ヶ池からの下りはなんだかだらだらと続いていつもうんざりしてしまいます。

道が平坦になり森を抜けると広々としたタデ原湿原に出ます。

ほっとしますね。

 

今回も虫や花に出会いましたが、長くなるので次の記事(くじゅうで出会ったお友達)でご紹介します。

まずはくじゅうの風景をご紹介しました。

 

2022年8月27日、28日山行

 

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久しぶりの井原山・水無渓谷へ

 

井原山山頂西のピークから脊振山方面

ここのところ、脊振の車谷から金山の間をうろうろすることが多くて、井原山に出かけていなかったので久しぶりに水無谷から登ることにしました。

調べてみたら今年の5月以来です。

 

この日は未明から雷鳴と激しい雨音で目が覚めるほどの天候で、明け方には雨は上がりましたが水無谷はいつになく水量が増え、沢の流れはなかなかの迫力です。

未明の大雨で水無谷の水量もいつになく増えていました

この写真の一番右側の流れは、登山道でいつもは水が流れていないところです。

ガスも出ていましたが、沢の付近は水煙が立っている状態です。

 

さてさて…

駐車場から登山口へ下りるとすぐにスズムシバナがお出迎えです。

スズムシバナ(ゴマノハクサ科)

このスズムシバナは、福岡県のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅰ A類とされていますが、分布地の記載に糸島市が入っていないようです。

脊振山地でも私はここでしか出会ったことがありません。

森林伐採などによる環境変化のために減少したようですので、大切にしていきたいですね。

 

オタカラコウ(キク科メタカラコウ属)

もうオタカラコウも咲き始めていますね。

秋の沢沿いでよく見かける花です。

 

これも秋の花のイメージです。

キツリフネ(ツリフネソウ科)

ツリフネソウの仲間でキツリフネです。

これも面白い花ですね。

茎なり花序の先から放射状にガクや花弁が開く花が多いかと思いますが、ツリフネソウの仲間は独立した花がひもでぶら下がってるだけのような形に見えます。

花の後ろ側は距で、すーっと細くなっています。

なんか、こんな形の帽子があったような…

ツリフネソウはどぎつい赤という感じなのに対し、キツリフネの黄色は上品で好きな色です。

 

登山道の足下にはハグロソウも咲き始めています。

ハグロソウ(キツネノマゴ科)

これも秋の花ですね。

ハグロソウは小さな花でひと株にひとつしか花が咲かないので非常に地味な感じがします。

 

沢沿いにはボタンヅルも咲いていました。

ボタンヅル(キンポウゲ科センニンソウ属)

ボタンヅル、センニンソウはよく似ていますね。

葉が分裂して鋸歯(ぎざぎざ)があるのがボタンヅルです。

花だけ見るとほぼ同じです。

 

日当たりのいい藪にはクズの花が咲き始めています。

クズ(マメ科)

これはどこでも見かけますね。

道路工事現場の脇なんかにも生えています。

根のデンプンから作るくず餅はおいしいですね。

健康にもいい食材のようです。

 

瑞梅寺源流方面への分岐を過ぎると登山道脇に立派な杉の木があります。

登山道脇の大スギ

これ、毎回写真撮ってしまうんですね。

多分、過去の記事にも同じような写真をあげてるかも…

 

シオカラトンボ♀

開けたカヤトの場所でシオカラトンボの雌を見つけました。

平地ではよく見かけますが、山の中では珍しい…かな?

 

諸行無常…

キツネノカミソリの群生地

あれほど咲き誇っていたキツネノカミソリもすっかりこの状態です。

倒れた茎でどれほどの数が咲いていたかわかりますね。

私はここ数年花の時季は人が多いのでここには寄りつかないようにしていますが、本当に素晴らしい光景ですよね。

名残のオオキツネノカミソリ

登山道に近い沢沿いに名残のキツネノカミソリが咲いていました。

もちろん、オオキツネノカミソリです。

 

カナクギノキの実

沢沿いのカナクギノキに実が付いています。

おなじクスノキの仲間のクロモジやシロモジの実によく似ています。

 

キツネノカミソリの群生地のさきのケヤキの森はまだうっそうとした雰囲気です。

うっそうとしたケヤキの森

最後の急登前のスギ林

水無ルートの尾根に登る急登の手前の杉林は少し煙っていい雰囲気です。

 

さて、しばらく最後の急登を頑張って登ると稜線に出ます。

キアゲハ

ツマグロヒョウモン

山頂付近では蝶達が縄張り争いを繰り広げています。

キアゲハが2羽、ツマグロヒョウモンとミドリヒョウモン(多分)がお互いバチバチでバトルしています。

上の写真のとおり、キアゲハは後翅の下の尾の部分が、ツマグロヒョウモンは前肢の端の方が大きく欠けています。

これが名誉の?負傷です。

結構激しいんですよね。

時々ひとにも威嚇してきます。

耳元に飛んできて大きな羽音をさせて威嚇してきます。

 

秋の花も咲いています。

ホソバノヤマハハコ(キク科ヤマハハコ属)

井原山の山頂には秋になるとこの花がたくさん咲いていました。

もちろん、まだ時季ではないのでしょうが、10年程前はもっとたくさん咲いていたように思います。

葉っぱも見かけないので、間違いなく数は減っているようです。

他にセンブリなんかはここ10年で全く見かけなくなりました。

環境の変化もあるのでしょうか、これらは登山客の影響もあるように思います。

以前も親子連れの登山客がラーメンの残り汁をササの根元に捨てていたのを見かけました。

ササの根元辺りにはヤマハハコもセンブリも、春のオキナグサも芽を出す場所です。

食べ物のかすや残り汁を持ち帰るのは最低限のマナー、いやルールです。

そういえば、今の時季であれば井原山の山頂にはカワラナデシコ、コオニユリもたくさん咲いていたんですが…

 

秋の七草が…

オミナエシ(オミナエシ科)

 

こちらはヤマホトトギス。

ヤマホトトギス

花弁が完全に反っていますので「ヤマ」ですね。

他に花の付き方が茎の先にいくつも花を付ける散房花序という形ですね。

花柱や、花糸の斑点の有無も判別の材料とされますが、ちょっとわかりにくいです。

 

オトギリソウ(オトギリソウ科)

これから秋にかけて稜線の日当たりの良い縦走路脇にたくさんの小さな黄色い花が咲いています。

オトギリソウです。

「弟切草」と書きます。

昔、この植物を使って作る秘薬の秘密を他人にしゃべってしまった弟を鷹匠であった兄が斬り殺したという伝説による名前だそうです。

花や葉に黒点が付いているのはその時の弟の返り血だという話もある悲劇の花です。

小さくて可憐な花なんですが…

これは変異種が多くてこれが何オトギリなのかはわかりません。

 

さて、これも随分数が減っているように思います。

サイヨウシャジン(キキョウ科)

サイヨウシャジンです。

もう花も終わりかけてます。

20年ほど前、福岡県の山関係のネット上で「ツリガネニンジン」か「サイヨウシャジン」かで大論争になったそうです。

よく似た花ですが、ツリガネニンジンは花がやや大きいのかな?

県内では平尾台など分布は限られているようです。

これも薬草だそうです。

最近これも数が減ってきてるように感じます。

 

 

サルトリイバラの実

ミツバツツジの群落の中にサルトリイバラの実がなっていました。

もうすぐ真っ赤に色づくことでしょう。

 

 

ツチアケビ(ラン科)の実

今年は、小さな芽生えを確認した後見に来ていませんでしたが、井原山のツチアケビも元気に花を咲かせたようで、立派な実を付けていました。

近くに2株みつけたので、また来年も楽しみです。

花よりもこの実が目立つので、ツチアケビを探すなら秋ですね。

 

ヤブラン(キジカクシ科)

尾根すじにヤブランが花を咲かせています。

以前の分類ではユリ科だったように思いますが、キジカクシ科となっています。

いずれにしても「ラン」の名がついていますが、ラン科ではありません。

花を見ればわかりますね。

ジャノヒゲやリュウノヒゲの仲間です。

 

尾根コースを下って水無谷に戻ってきました。

分岐の大ケヤキ
ミズヒキ(タデ科)
右が赤、左が白

最後に、先日話題にしたキンミズヒキに対して、ミズヒキの花を…

これはまだつぼみの状態ですが、白と赤があります。

それで「水引」になぞらえたのかな?

花は「タデ科」らしい花です。

斑入りの葉っぱも特徴ですね。

 

もう山の上はすっかり秋の準備ができています。

あとは涼しくなってくれないかなあ…

 

2022年8月21日山行

 

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車谷から稜線へ

キツネノカミソリの車谷からの続きです。

稜線のブナの森

車谷を詰めると矢筈峠に出ます。

ここは気象台のレーダーに続く舗装道路が走っていますが、その脇にはブナやアカガシの森が広がっています。

特にこのあたりのアカガシの森はゼフィルス、キリシマミドリシジミの生息地として昆虫愛好家や研究者には有名なようです。

私はずいぶん以前にキリシマミドリシジミの雌らしき蝶を見たことはありますが、オスの美しい緑色の翅はまだ見たことがありません。

 

ノリウツギ

リョウブ

気象台道路の脇の森のの周りにはリョウブやノリウツギの白い花が咲き誇っています。

どちらも夏の花というイメージです。

ノリウツギはアジサイ科で白い装飾花が目立ちます。

茎を折ると髄からドロッとした糊状の樹液が出てくることから糊空木と呼ばれるようになったそうです。

リョウブは救済植物と言われており、飢饉のときなどに食料として利用されたという話もあります。

リョウブ=令法(法律)ということだそうですが…何でだろう?

 

今週もいろいろな樹木の実が見られました。

ウラジロノキ(バラ科アズキナシ属)の実

葉の裏に白い毛がたくさんあって歯の裏が真っ白に見えるのでウラジロノキ。

実まだ緑色でした。

 

ゴマギ(レンプクソウ科)の実

葉をちぎるとゴマの香りがするゴマギは真っ赤な実をつけています。

 

ヤマシグレ(スイカズラ科ガマズミ属)

実だけ見るとゴマギにも見ていますが、これはヤマシグレの実。

ヤマシグレは花の咲く前まではアジサイのように見えますが、花の感じやら少し違っていてガマズミの仲間ということですね。

 

山麓から稜線までたくさんのセミの鳴き声がします。

ミンミンゼミ

九州の平地ではあまり声を聞くことのないミンミンゼミも涼しい山の中では元気に鳴いています。

他にツクツクボウシ、アブラゼミ、ニイニイゼミ、ヒグラシ、エゾセミの声があちこちに聞こえます。

 

 

 

オニヤンマ

開けたミヤコザサのササ原でオニヤンマが縄張りパトロール中にちょっと休憩です。

 

 

オサムシ

縦走路の真ん中ではオサムシが食事中。

セミ(ヒグラシかな?)の死骸を無心に食べています。

 

 

ササ原の脇にはギボウシの花が咲き始めています。

コバギボウシ(リュウゼツラン亜科)

コバギボウシは野生の花とは思えない気品のある花ですね。

ギボウシとは擬宝珠という橋の高覧や神社の構築物の先端に付けるネギ坊主みたいな装飾のことで、花のつぼみがこの擬宝珠に似ていることからついた名前だそうです。

図鑑では湿った草原に…となっていますが、比較的乾いた稜線に多く見かけます。

見た目より湿った環境なのかな?

 

脊振から金山への稜線は落葉広葉樹と照葉樹の森が交互に現れます。

 

照葉樹の森の縦走路

 

少し標高が上がって乾いた尾根筋にミヤマウズラの花が咲き始めています。

ミヤマウズラ(ラン科)

ミヤマウズラ

ミヤマウズラはラン科の小さなかわいらしい花です。

 

森の落ち葉の上を危ないヤツが飛び回っていました。

キイロスズメバチ

キイロスズメバチは、オオスズメバチに比べ小さいハチですが、オオスズメバチに負けず攻撃性の強いハチです。

これから巣を作って子育てを始めますので10月頃にかけては十分注意が必要です。

山で休憩中に缶のオレンジジュースにスズメバチが入り込んで、飲もうとしたときに唇を刺されたという話もあります。

気をつけましょう。

 

ジンバイソウ(ラン科ツレサギソウ属)

これも面白い花です。

ジンバイソウ。

ランの仲間ですが、変わった花です。

これはまだ十分開花していない状態だと思います。

 

面白い花といえば…

ヤマジノホトトギス(ユリ科ホトトギス属)

ホトトギスの花は花柱、花糸が花から飛び出し外側に開いて…面白い形をしています。

初めて見たときはふざけてるのかと思いました。(笑)

これは、花弁が外側に反っていないことと、花柱に斑点がないことでヤマジノホトトギスかと思います。

名前の由来はこの赤い斑点が鳥のホトトギスの胸から腹にかけての模様に似ているということのようです。

 

最後に林道と登山口付近で見かけた虫たちを…

モンキアゲハ

この写真では前肢に隠れているんですが、後翅に白っぽい紋があったのでモンキアゲハかと思います。

水がしみ出している暗い岩場で吸水する姿をよく見かけますが、これは林道の明るい場所で吸水していました。

 

あと、登山口付近のアスファルトの上でハンミョウを見つけました。

ハンミョウ

小バエにたかられています

ハンミョウは「斑猫」と書きます。
肉食で昆虫を捕まえて食べます。

これはどうやら小バエのたかっているムシの死骸を横取りしたのか、このあとたくさんのはえに追いかけ回されていました。

翅の模様がきれいですね。

昔は街中の路地でもよく見かけました。

 

今回はリベンジ登山でしたが、毎回違う花や虫たちにも出会えるので、それもまあよしとしましょう。

 

2022年8月14日山行

 

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キツネノカミソリの穴場 車谷へ

8月11日にキツネノカミソリを求めて車谷に出かけたんです。

ほぼ満開で素晴らしい風景でした。

…でした、が、うちに帰って画像データをPCに転送しようとしたとたん、データが壊れて…

復旧ソフトでも復旧せず…

こうなったら意地です!

14日に再度チャレンジ!

ということで、もう一度車谷へ…(今回は6日にも様子を見に行ったので3回目…苦笑)

車谷のキツネノカミソリ

脊振の常連さんが口々におっしゃるのが「最近車谷のキツネノカミソリがすごくなってる」

まあ、水無谷と同じとまでは言いませんが、以前のイメージからすると圧倒的に数が増えた感じで、なかなかの迫力です。

 

と、まあ登山口から順番に…

アキノタムラソウ(シソ科)

ヌスビトハギ(マメ科)

登山口付近の日当たりのよい草藪にはアキノタムラソウが咲いていました。

「秋の」という割には毎年夏の早い時期から咲き始めています。

杉林の林床にはヌスビトハギです。

なんとも可愛そうな名前です。

由来については、実の形が泥棒の足跡に似ているとか、実がいつの間にか衣服にくっついているからとか…?

 

先日、「ハナミョウガの花はまだ…」なんて言っていましたが…

ハナミョウガ(ショウガ科)の実

よく考えたらハナミョウガは5月頃にとっくに終わって、今はもう実になっています。

いつの間にか花の時期を過ぎてました…(苦笑)

 

これも日当たりのいい草むらにたくさん咲き始めています。

キンミズヒキ(バラ科キンミズヒキ属)

これは、紅白の花が付くタデ科のミズヒキに対し、黄色の花であることから「金水引」となったようです。

水引とは随分見た目も違いますが…

 

登山道を歩いているとスダジイの幹になにやら…

生き物が隠れているのわかりますか?

木の幹に生き物が…?

カジカガエル

見事な保護色ですが、体の模様などからカジカガエルのようです。

初夏に沢沿いでカエルとは思えないきれいな声で鳴いています。

Youtubeで検索するとたくさん出てきますので聴いてみてください。

 

沢沿いにはクサアジサイも咲いていますね。

クサアジサイ(アジサイ科)

草(草本)のアジサイということですね。

梅雨から初夏に咲くヤマアジサイはきれいなブルーですが、クサアジサイは淡いピンクです。

形もいまいち整っていないものが多いですね。

 

林道などではマツカゼソウも咲いています。

マツカゼソウ(ミカン科)

実は知らなかったんですが調べてみると「ミカン科」でした。

ピンとこないですね。

白いかわいらしい花となんだか涼しげな名前がいいですね。

この写真は、少し花が開いてしまっているので…いいわけですが…もう少し前の時季だと花が本当にかわいらしいです。

 

サンショウウオも順調に成長しているようです…

サンショウウオ(ブチサンショウウオ)

見た目は変わってないけど(笑)

 

トチバニンジンの実

トチバニンジンが真っ赤な実を付けてます。

花よりこの実がよく目立ちますね。

ひっくり返したら線香花火の終わりのほうみたいで…

 

さあ、上の林道から少し急な斜面を登り沢を渡ると…

キツネノカミソリ(オオキツネノカミソリ)の群落

最初のキツネノカミソリの群落があります。

昨年辺りから随分迫力が増したようです。

ちょっと感動です。

なにより、井原山水無谷に比べ人がほとんどいないのが良いですね。(笑)

オオキツネノカミソリ(ヒガンバナ科)

ヒガンバナの仲間で、5月頃にカミソリに見立てられた平べったい長い葉が一斉に出てきて、5月末にはこれが全て枯れて8月はじめの忘れた頃に花だけが一斉に咲き始めます。

おしべが長く突き出しているのがオオキツネノカミソリ。

ひと株ずつ確認したわけではありませんが、井原山も車谷もほとんどがオオキツネノカミソリのようです。

 

この群落からさらに登り沢の源流部から少し下った辺りにもう1箇所群落があります。

(冒頭の写真)

このあと、キツネノカミソリとさよならして、谷を詰め矢筈峠から稜線を歩いていきますが、稜線の縦走路の様子は記事を分けてお伝えします。

 

  2022年8月14日山行(前編)

 

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