しろ鹿 脊振の山散歩

かけだし森林インストラクターのぶらぶら山散歩

梅雨の前に…脊振山麓散策

イベントシーズンの5月は連休後の土日、晴天の日はほとんどイベントばかりで山には入れませんでした。

前回から1ヶ月以上経ってやっといつもの脊振山地へ

寝坊やら体調もいまいちなので、車谷から椎原峠への周回コースを散策してきました。

この時季、林道沿いも色々と面白いものが見られそうなので、椎原峠ルートの入口から林道を経由して車谷へと入ります。

 

この時季には、林道沿いの日当たりのいい場所にこんな葉っぱを見かけます。

マタタビ(マタタビ科)の葉っぱ

葉の表面がペンキを塗ったように白くなっています。

これ、マタタビの葉っぱなんですね。

遠くから見ると白い花が咲いているように見えます。

白、黄色、赤などの色で花の位置を認識するチョウやハチを呼び寄せるために葉のなかに空気を取り込んで白くに見せているらしい。

何のため?

実はこの葉っぱの下には…

 

マタタビの葉の下にはかわいらしい花が咲いています

本物の花が咲いているんです。

でも、花は葉の下で遠くからは目立たない。

なので、受粉を手伝ってくれる虫たちが、遠くからでも花が咲いていることがわかるように葉っぱを目立たせているとか…

「花、咲いてマス!」

 

もちろん、あの猫が大好きな「マタタビ」です。

 

ウリノキの花も咲いてますねえ

ウリノキ(ミズキ科)…モミジウリノキ

両側に見える白い棒のようなのがつぼみ

棒の表面をくるくるっと巻き上げて、中からおしべが出てきたら「開花」

くるくるっと巻き上がってるのが花弁…いつ見ても面白い花です

 

沢沿いはまだまだですが、日当たりのいい林道ではヤマアジサイが咲いています。

ヤマアジサイ(アジサイ科)

装飾花が白と青のグラディエーションできれいだったのでパチリ

 

イチゴもたくさん実をつけていますが、まだ少し酸っぱい

クマイチゴ(バラ科)の実…おいしそう

脊振山系では、ナガバモミジイチゴ、ビロードイチゴを多く見かけますが、ここの林道にはクマイチゴが多いですね

 

ふわふわの葉っぱが気持ちいいヤブムラサキが花をつけています

ヤブムラサキ(シソ科)

足下にも色々と咲いています

ウツボグサ(シソ科)

ミゾホオヅキ(ハエドクソウ科)

ミズタビラコ(ムラサキ科)

 

ふと見ると誰かが葉っぱにいたずらを…?

葉っぱにいたずら?

葉っぱを切り取って、くるくると巻いてぶら下げて…

犯人(?)が奥にぼんやり写っていました

 

オトシブミという小さな昆虫です

エゴツルクビオトシブミ♀

これは主にエゴノキにやってくる「エゴツルクビオトシブミ」

メスがエゴノキの葉っぱに卵を産み付け、その葉っぱを切り取って春巻きのように

くるくる巻いて、卵からかえった幼虫はこの葉っぱを食べて大きくなります

孵化した後のお弁当と卵や幼虫を守るゆりかごをおかあさんが準備しているんですね

種類によってはこのゆりかごを完全に切り離すものもあって、これが「落とし文」のようなので、この名前がついたとか

なかなか粋なネーミング

 

林道から車谷の登山道に入るとミツバウツギの木をよく見かけます

ミツバウツギ(ミツバウツギ科)の実(種)

この種をはじめ見たときは、カエデの仲間かと思いました

そういえば花をまだ見たことがないなあ

 

トチバニンジンの花ももう少しで咲きそう

トチバニンジン(ウコギ科)

トチノキの葉っぱに似ているので「栃葉(トチバ)」にんじん

ウコギの仲間で薬草になるそうです。

 

沢の源流部にはバイケイソウが咲いていました

バイケイソウ(シュロソウ科)

株はたくさんあるけど、咲いているのが少ないような

この花は毒です

特に新芽を他の山菜と間違って食べて食中毒になる事故が時々起こりますので要注意です

 

オオサンショウソウの葉っぱにカメムシ

ツチカメムシ

カメムシっぽくない感じですが、なんとなくゴキブリ感が強い

 

 

ジョウカイボン

ジョウカイボンもよく見かけます

カミキリ虫に似てますが、ちょっと違います

毒虫と思われていたようですが、毒もありません

 

源流部の沢の石の裏にひらひらと水の流れに踊っている物体

沢の中に何かの卵(卵嚢)の残骸?

多分サンショウウオの卵嚢では?

もう中身(卵)は入っていませんが

 

稜線に出ると、まだウツギの花も咲いています

ウツギ(スイカズラ科)

ツルアジサイも咲いています

ツルアジサイ(アジサイ科)

ヤマグワ(クワ科)の実

ヤマグワは実がつき始めていますね

黒い実はちょっと見た目がアレですが、甘くておいしい

 

ヤマツツジも鮮やか

ヤマツツジ(ツツジ科)

ネジキ(ツツジ科)

同じツツジの仲間でネジキの花

アセビの花に似ています

 

虫たちも元気ですね

ヤマウラギンヒョウモン♀?

オオオサムシ

サナエトンボの仲間…ダビドサナエ♀?クロサナエ♀?ヒメクロサナエ♀?…

アサヒナカワトンボ

アサヒナカワトンボは、沢沿いでよく見かけますが、この日は稜線にたくさん見かけました

 

スギ林の中にハナミョウガ

ハナミョウガ(ショウガ科)

葉っぱをちぎって香りをかぐといい香り

でも、すこしミョウガの香りも

 

 

春から夏にかけて山は命にあふれていて、一番楽しい季節です

梅雨の晴れ間を狙って、今年はもっとたくさん山歩きをしたいものです

考えてみれば山歩きを始めて10年くらいは、ほぼ毎週どこかに出かけていたような

では、また次回

 

2026年6月12日山行

 

ふくおか森林インストラクター会 | ふくおか森林インストラクター会は自然や森林の大切さを伝える活動をしています。

 

 

GW最終日は九千部山へ

九千部山山頂展望台から筑後方面を望む

今年のゴールデンウイーク(NHK的には大型連休)は晴天の日が多かったですね。

最終日も朝から気持ちのいい晴天で、家でゆっくりという気分にはなりません。

桜谷のサバノオも気になるので、ちょっと九千部山へ出かけることに

 

九千部山は福岡県那珂川市と佐賀県鳥栖市の境に横たわる山で、標高847m、筑紫平野側から見ると山頂付近が平べったく見えます。

福岡平野、筑紫平野、筑後平野から佐賀平野方面まで見渡せるので、山頂付近にはたくさんのテレビ局の電波塔が建っています。

九千部山の名前は、災害に悩む人々を救うために一万部のお経を山頂で読経しようとしたが、九千部までで命尽きてしまったという(非常に簡単に言うと)伝説に寄るものとか(諸説あります)

この九千部山の登山コースの内毎度お世話になっているのが桜谷コースです。

ここもなかなか、春は色々な花に出会えます。

沢を渡って本格的な登山道になります

今は閉鎖されているグリーンピア那珂川の入口付近に登山口があります。

登山口から沢沿いの道、グリーンピアの施設を抜けると上の登山口へ

ここから、本格的な登山道に入ります。

すぐに沢を渡りますが、ここがいつもきれいなので、つい写真を撮ってしまいます。

毎回同じですみません。(まあ、このブログはどの記事も毎年同じような写真ですが)

 

スギ林を登っていくと、一旦倒れた後に頑張って上に向かって伸びているスギの木に出会います。

「根性のスギ」と名付けましょう

根性杉

 

登山口からすぐ色々な花に出会います。

ツクシヤブウツギ(スイカズラ科)

ツクシヤブウツギは、九千部山から坂本峠の付近でよく見かけます。

ウツギと名のつく植物には大まかにスイカズラ科とアジサイ科のものがあります(他にもミツバウツギ科、バラ科のものなどありますが)

この内、スイカズラ科のものは花の色がはじめは白色で、だんだんオレンジや茶色に変わっていくものが多いようです。(ウツギやスイカズラなど)

このヤブウツギや同じ仲間のニシキウツギは、白からピンクに変わるので、ひとつの木に2色の花が咲くという華やかで不思議な特徴を持っています。

 

沢沿いにはちょっと時季が遅かったようですが、まだサバノオの花が残っていました。

サバノオ(キンポウゲ科)

本当に小さな花で、多分登山者のほとんどの人が気付いていないようです。

でも、よく見るとかわいらしい花です。

一番下の画像の左側に少し移っているT字型の部分が種になりますが、これが鯖の尻尾に似ているから「サバノオ」の名がついたとか。

これ以上は何も言いませんが…(苦笑)

 

稜線付近まで出るとアカガシの森が広がっていますが、比較的明るくて、この時季は林床のクロモジ、シロモジ等の低木の新緑が爽やかです。

稜線付近の新緑

 

ギンリョウソウ(ツツジ科)

照葉樹林の林床にはギンリョウソウが花を咲かせています。

見ての通り、葉緑体がありません。

つまり、自分で栄養をつくり出すことはなく、根っこにいる菌類(キノコの仲間)の力を借りて、まわりの樹木がつくり出した栄養をもらいながら生きています。

以前は、枯れ葉の栄養で生きていると言われていましたが、最近の研究で枯れ葉から栄養をとる力もなく、菌類の力を借りていることがわかったそうです。

真っ白であやしい姿から「ユウレイタケ」という別名もありますが、キノコの仲間ではなく、なんとツツジの仲間だそうです。

 

脊振山系では春によく見かけるホウチャクソウもたくさん咲いていました。

ホウチャクソウ(イヌサフラン科)

ツリバナ(ニシキギ科)

これはだれも気付いていませんが、ツリバナというマユミの仲間の木の花です。

花弁が5枚あるのがツリバナ、4枚が十字状に開いていればマユミです。

葉っぱもよく似ていますし、秋につける赤い実もそっくり。

この花の前で出会ったお二人の方に「マユミですよ」と言ったものの、あとでツリバナだったことに気付いて、訂正しなくてはと思っていましたが、その方々は10分以上前に下山していって…

ところが、途中でまた会うことができたんですが…

 

なんと、大変なことに途中の沢にお一人が転落してケガをされていたようで、救急隊を要請しているところに追いついたので、たまたま通りかかった別の男性の方と一緒に救急隊や警察の対応等をお手伝いさせていただきました。

幸い意識はあって、お話も落ち着いてできていたのですが、出血があり、骨折の疑いもあったのでかなり心配でした。

どうやら狭い登山道に降り積もったアカガシの葉っぱで滑って90度に近い急斜面を転落してしまったようです。

この時季の照葉樹林では古い葉っぱがたくさん落ちていて、まだ分解されていないので、表面のロウの成分がつるつると滑りやすくて、急斜面等ではとても危険な状況になります。

みなさんも、十分にお気をつけください。

 

それから、最近はファーストエイドキット(救急箱)を持たずに山に入る方が多いようです。

山に入る際は下痢止め、鎮痛・解熱剤(バファリン等)、傷用パッド、テーピングテープ、消毒剤(マキロン等)、虫刺され用のステロイド剤等々は必ず持って行ってください。

私は単独で山に入ることが多いので、必ず持って行きますし、できるだけセルフレスキューを意識してはいます。(もちろん、一人ではどうしようもないこともありますが)

今回ケガをされた方は、胸の痛みを訴えておられましたが、痛み止めを持っていらっしゃったので、ケガの痛みには対応できていたようでよかったと思います。

 

救急隊が来る前に私は下山をはじめたのですが、途中救急隊に出会ったので情報を伝えて無事下山しました。

無事病院に入られたことと思います。

 

自分自身も2年ほど前に一人でケガをしてしまって大変な思いをしましたし、その前にはスズメバチに襲われた小学生の団体を救急車が来るところまで連れて行ったり…

山は素晴らしいところですが、危険もたくさんあるということを意識しながら、たのしんでいきましょう。

 

2026年5月10日山行

 

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脊振山麓散策・奥の車谷へ

自衛隊道路から新緑の稜線を望む

何年ぶりでしょう、車谷奥の沢へ

このルートは踏み跡も少なく、途中落差10mを超える滝の脇の崖に張り付く場面もありますが、他のルートよりもより自然を感じることができます。

 

車谷の登山口付近で準備をしていると小さなちょうちょが膝にとまりました。

見ると春型のサカハチチョウです。

指を出してみたら、指の先に乗ってくれました。

サカハチチョウ(右が春型、左は夏型…昨年7月撮影)

サカハチチョウは春に発生する春型の個体と、夏に発生の夏型では翅の模様が全く違います。

上の画像の左が夏型、右が春型です。

多分吸水のために寄ってきたのでしょう、膝の上や指の先で口吻を伸ばしてしきりに探っていました。

 

まずは車谷登山口からスギ林の登山道に入ります。

ハイノキ(ハイノキ科)の花

スギ林の中にハイノキの花が咲き始めていました。

 

タブノキ(クスノキ科)

沢沿いに赤い花が…と思ったら、タブノキの新芽(若葉)でした。

 

日当たりの良い林道でフキの綿毛がきれいです。

フキ(キク科)の綿毛

エサキモンキツノカメムシ

春ですね、色々な生き物が見られます。

背中にハート模様の虫。

エサキモンキツノカメムシ…一瞬ハートマークがかわいいと思うけど、カメムシです。

まあ、セミもカメムシの仲間なので、カメムシをことさら嫌うのもなんですが…(笑)

 

沢沿いにはたくさんの花が咲いていますね。

ラショウモンカズラ(シソ科)

ヒメレンゲ(ベンケイソウ科)

ワサビ(アブラナ科)

今日の目当てのひとつは、ワサビの花でした。

脊振山麓には昔からきれいな水を利用してわさび田がつくられていました。

そこから逃げ出した株が沢沿いに生息しています。

 

ヒメナベワリ(ビャクブ科)

何気なく覗いた葉っぱの裏に小さな花が

ヒメナベワリの花が付いていました。

本当に小さな小さな花です。

葉っぱをなめると舌が割れるほど苦いので「舐め割り」→「なべわり」になったとか?

植物の和名は変な変換をするので、わけがわかりませんね。

 

標高が高い場所ではニリンソウが盛りでした。

ニリンソウ(キンポウゲ科)

コミヤマスミレ(スミレ科)

 

ミソサザイ

沢に響き渡るにぎやかなさえずりはミソサザイ。

春ですねえ。

 

カヤラン(ラン科)

カヤランも面白い植物ですね。

樹木の幹に着生して、ぶら下がって花をつけています。

気根を伸ばして生きていますが、湿気の多い環境が好きなようです。

脊振山麓は雨や霧も多くカヤランにとってもいい環境なんでしょうね。

 

ツクバネソウ(シュロウソウ科)

 

沢を詰めて行くとやがて自衛隊道路に突き当たります。

自衛隊道路沿いでは高木の花や葉っぱがよく見ることができます。

ミズナラ(ブナ科)の花穂

コバノミツバツツジ(ツツジ科)

ニワトコ(ガマズミ科)

サンショウ(ミカン科)

ブナハアカゲタマフシ

ブナの葉っぱに赤い実が…いやいやブナの実はシイの実のような殻斗をつけたどんぐりです。

この赤い実のようなものは、虫こぶで中にはブナハアカゲタマバエというタマバエの幼虫が入ってるそうです。

開けてみたことないけど。

 

春の山では、植物の新芽のかおり、鳥のさえずり、虫の羽音、生命の息吹を感じることができます。

一番楽しい季節です。

 

2026年5月2日山行

 

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早春・井原山

井原山の山頂

4月4日に予定している井原山の散策企画のために水無谷へ下見に出かけました。

去年に比べると今年の3月は暖かいのでもう花がたくさん咲いてるかな?

 

水無鍾乳洞の駐車場がいっぱいだったので、ずーっと戻って広い林道の脇に車を止めて、林道を歩きます。

 

林道脇の斜面(土手)にたくさんのツクシショウジョウバカマが咲いています。

林道の斜面にたくさんのツクシショウジョウバカマ(メランチウム科)

ツクシショウジョウバカマ(メランチウム科)

花はかわいらしいですね。

本州の方では、中国の妖怪「猩猩(しょうじょう)」の顔のように花が赤い(濃い朱色?)ので「ショウジョウバカマ」と名付けられたとか…

で、九州では白か薄紫。

もはや名前の由来からかけ離れてる(苦笑)

植物の名前はこんなことが多いですね。

 

きれいな水無谷の沢

ホソバナコバイモ(ユリ科)

大きなケヤキの木の下でホソバナコバイモが咲いていました。

これもいわゆるスプリングエフェメラルではありませんが、小さくて清楚ではかない雰囲気はありますね。

結構しぶとく咲いてますが…(笑)

 

沢沿いの日なたにはもうヤマエンゴサク、ニリンソウも咲いていました。

あと、ユリワサビはあちこちに…

ヤマエンゴサク(ケシ科)

ユリワサビ(アブラナ科)

ニリンソウ(キンポウゲ科)

登山道脇にオオキツネノカミソリの茂った葉っぱを見ながら登っていきます。

登山道の脇にはたくさんのキツネノカミソリの葉っぱ

オオキツネノカミソリ(ヒガンバナ科)の葉っぱ

「キツネノカミソリ」とは、この葉っぱがカミソリのようなのでついた名前とか…

見えますか?カミソリに

もちろん触っても切れません。

 

ケヤキの森

 

急登を登って稜線に出ると、天気はいいけど黄砂が多いようです。

山頂から金山・脊振山方面を望む

山頂からは金山がかろうじて見えるくらいで、脊振山はほとんどかすんで見えません。

 

尾根道

ヤマルリソウ(ムラサキ科)

尾根を下りていくと日当たりのいい土手にヤマルリソウやタチツボスミレが咲いています。

タチツボスミレ(スミレ科)

 

そういえば、途中ヤマツツジの新芽(花芽)が出ていました。

ヤマツツジ(ツツジ科)の花芽

新芽の感じがツツジらしいですね。

 

新芽と言えば

アオキ(アオキ科)の新芽

アオキも新芽(花と葉)

それから、林道沿いにハンショウヅルの芽も出ています。

ハンショウヅル(キンポウゲ科)の新芽

他にヒトリシズカやキバナノアマナ、トウゴクサバノオなど、つぼみでも見られるかと思っていましたが、まだほとんど姿もなし。

今年も少し遅いような。

まあ、春はまだこれからということでしょう。

来週が楽しみです…が、天気悪そう

 

2026年3月28日山行

 

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早春の四王寺山

日曜日だし、久しぶりに脊振のどこかに出かけようかと思っていたら、午後から四王寺山でイベントの打合せがあることを思い出しました。

しかたがないので、午前中から四王寺山へ出かけ、ぶらぶら歩いてみることにしました。

いろいろ事情があって、管理センターから四王寺山の東側の稜線(土塁沿い)を歩くことにします。

焼米が原からの眺望

管理センターからは、駐車場奥のワンヘルスコースに沿って焼米が原を目指します。

草原に遊具が設置された「こどもの国」を通り、落葉樹の森の中の湿地を抜けて山道に取付くとヒノキの林の中、擬木の階段がなんだかいい雰囲気です。

 

一旦道路に出て少し下ると右手にまた森への道が続きます。

照葉樹の森を抜けると

焼米が原

見晴らしのいい焼米が原。

草原が気持ちいいですね。

ここは、昔私たちが小学生の頃には福岡市内の多くの小学校にとって遠足のメッカともいえる場所でした。

焼米が原でも少し高くなっている見晴台からの眺望は四王寺山では一番かもしれません。

ちなみに、「焼米が原」というのは、今から1350年以上前に四王寺山につくられた「大野城(おおののき)」という山城の中に建てられた倉庫から米がこぼれだし、これが長い年月を経て黒く炭化し、このあたりにたくさん落ちていたということでつけられた名前です。

 

土塁跡

焼米が原の少し高いところから眺めると、お城の城壁(土塁)の形がよくわかります。

こんな風に四王寺山のほぼ全体に土塁が築かれていました。

この土塁の上を歩いて行くと四王寺山を1周することができます。(一部谷もありますが)

これに沿って、四王寺東側の大原山方面へ向かいます。

タブノキ(クスノキ科)の冬芽

照葉樹林の主、タブノキの冬芽がふくらみ始めています。

サルトリイバラの実も見られますね。

サルトリイバラ(サルトリイバラ科)の実

しばらく歩くとセリバオウレンが気になったので、生息地にちょっっと立ち寄ります。

セリバオウレン(キンポウゲ科)

 2月頃が花のピークなので、もう終わっているかと思っていましたが、盛りは過ぎているものの、まだ花は残っていました。

 本来九州には自生しない植物ですが、各地の修験の山と言われる場所では見ることができます。

 これは、薬草として修験者がいろいろな修験の山に植えたからだと言われています。

 

歩いていると、ヤマガラが騒いでいました。

ヤマガラ

警戒されたかな?

 

土塁の途中から「小石垣」の方へ下って行くと、山の中の小川に出ます。

森の中の小川

森の中のちょっといい雰囲気の場所です。

 

放棄された田の脇の水たまりにはたくさんのカエルの卵(卵嚢)とすでに孵ったオタマジャクシがたくさんいました。

カエルの卵(卵嚢)とオタマジャクシ

 

で、そのそばの沢をのぞき込むと、土手に咲いていました。

ツクシショウジョウバカマ(メランチウム科)

 ツクシショウジョウバカマの花です。

 比較的長く咲いていることもあるのでいわゆる「スプリングエフェメラル」ではありませんが、咲き始めの花はとても清楚で春の妖精のようでもありますね。

 

今日は、少し寒かったけど、春を感じながらのんびりと散歩をしてきました。

そろそろ、いろんな花が咲き始めますね。

楽しみです。

 

2026年3月8日散策

 

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Sunshine on My Shoulder…井原山

井原山山頂

前日の雨も上がって、今日の予報は晴れ時々曇り…のはずが朝からどんよりとした雲が空を覆っています。

まあ、それでも予報を信じて井原山へと出かけました。

 

車の中でジョン デンバーの「Sunshine on My Shoulder」を聴いてたもんで、山頂で日が差してきて…なんて期待しながら

 

まあ、結論から言うとSunshineがMake me Happyしてくれたのはほんの一瞬で、あとはずーっと曇り空

比較的暖かかったのがせめてもの救いでした。

 

井原山の水無ルートは、珍しく他に登山者もなく静かな山歩きができました

コウゾ岩

何度も紹介していますが、水無鍾乳洞第2入口の先に「コウゾ岩」があり、この岩の足もとから流れ出る水はおいしく飲めます。

「コウゾ」とはフクロウのことだそうで…フクロウねえ…そう言われれば

この岩も石灰岩のようで、長年雨などで削られてできた形ですね。

まあ、フクロウだそうです。

 

水無ルートと水無林間歩道の分岐にある大ケヤキのまわりもガスに包まれていました

分岐の大ケヤキもガスの中

カラスウリの実

枝の雨だれがキラキラときれいです

 

あちこちでキツネノカミソリが芽をだしています

オオキツネノカミソリは着々と春の準備をすすめています

 

ケヤキの森の手前の小さな沢の付近に毎年冬になっても枯れ葉が落ちないままの木が2本あります

他の落葉樹はほとんど葉を落としているので結構目立ちます。

葉っぱが落ちないアブラチャン(クスノキ科)

冬になっても葉が落ちないので有名なのはヤマコウバシ(クスノキ科)ですが、近寄ってよく見ると葉柄の状態や実の感じから、どうやらアブラチャンのようです。

クスノキ科の樹木では、シロモジもそうですが、たまに枯れ葉を落とさないまま冬を越す個体も見かけます。

 

…しかし、君はクスノキ科ではないだろう。

葉っぱが落ちないチドリノキ(ムクロジ科)

これは、どう見てもチドリノキ(ムクロジ科)です。

葉っぱのキザギザ、対生…

どうやら、チドリノキも葉を落とさないものが多くあるようです。

でも、このルートの他のチドリノキはほとんど落ちてるんですけどねえ

受験生には縁起物でいけるかも「落ちない木」

 

ナワシログミが実(グミ)を作り始めています

ナワシログミ(グミ科)

 

ケヤキの森はいつ来ても気持ちがいい!

ケヤキの森

 

急登の上には雪が残っています

稜線付近のブナの森

急登を登っていると面白いものを見つけました

ツチグリ(キノコ)

面白い形をしたキノコで「ツチグリ」です

真ん中の「ボール」はスカスカ、パフパフで、指でつまむとてっぺんの穴から煙のような「胞子」を吹き出します。

これでも、もう少し成長するまえのものは食べられるそうです。

よほど食糧難になったら考えてもいいですけどねえ

 

シジュウカラがなにやら警戒しながら私のまわりを飛び回っています

「写真撮るだけ、心配せんでいいよ」

シジュウカラ

 

あちこちで干からびた実を見かけます

冬ですね

左はネジキ(ツツジ科) 右はサルトリイバラ(サルトリイバラ)

稜線に出て少し行くと山頂です

東側の広場から井原山山頂

山頂には登山者ひとりしかいませんでした

だれも予報を信じていなかったようで…

 

少し雲が消えてきましたが、まだまだ

金山方面

雷山方面

 

山頂の隅に井原山の花々のレリーフを施した新しい山頂標がたっていました。

新しい山頂標?

だれがつくってくれたのかな?

なかなか素敵な山頂標です

遊歩道クラブの方かな?

ありがたいことです。

ただ、これ以上は色々建てられないことを願います。

 

気温はそこそこ暖かくて、のんびり静かな山歩きができましたが、やっぱり春が待ち遠しい…

 

2026年2月15日山行

 

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高祖神社の檜皮はぎ

檜皮葺きの高祖神社本殿

 ふくおか森林インストラクター会の先輩のお誘いで糸島市高祖神社のヒノキの森で行われる「檜皮(ひわだ)剥ぎ」を見学してきました。

 檜皮(ひわだ)・・・皆さんご存じでしょうか?

 飛鳥時代頃から始まった日本固有の屋根葺き工法で、薄く剥ぎ取ったヒノキの皮を屋根に幾重にも重ねて葺きます。

 格式高い工法で、現在でも有名な寺社では檜皮葺きの建物がたくさんみられます。

 福岡近郊でも太宰府天満宮、筥崎宮などでみられます。

 

 当日は朝から雨で、採取した檜皮を濡らせないので雨天の場合見学会は中止の予定でしたが、雨の中集まった数名の見学者、取材の方のためにデモンストレーションとして、少しだけ檜皮剥ぎをやっていただけることになりました。

 

今日デモを行うヒノキは、約10年前に皮を剥いだヒノキです。

檜皮に使うのはヒノキは、皮を剥いだ後の回復力や材の形状を考慮し、樹齢80年を超えたものを選ぶそうです。

本日皮を採取するヒノキ

1度皮を剥ぐと約10年でまた檜皮として使える樹皮が再生するそうです。

初めて剥いだ皮の表層は「荒皮」と呼ばれる質の悪い層で、屋根材としては使えないので、これをさらに剥いで「黒皮」と呼ばれる下の層の部分を採取するのですが、一度皮を剥いだ木は、10年後に再生した表層がすでに黒皮の状態で、材質も良くなり、荒皮を除去する必要はないので効率が良くなるようです。

 

下の写真は、左側が高祖山で10年ほど前に皮を剥いで再生したひのき、右は四王寺山の皮を剥いだことのないヒノキです。

高祖神社のヒノキ(左)と四王寺山のヒノキ(右)

樹皮の様子が少し違うのがわかりますね。

左の方が樹皮の縦模様がきれいに出ているかと思います。

 

皮を剥ぐのにはヒノキの幹を登って行くときに使う振り縄(ぶりなわ)、木製のヘラ等の道具を使います。

ヘラはカナメモチでつくるそうで、先の厚みや長さなど職人ごとにカスタマイズされているそうです。

木製のヘラを使うのは、表皮のすぐ下にある「形成層」と呼ばれる樹木の成長に大切な部分と師部と呼ばれる栄養を蓄える部分に傷をつけないようにするためです。

皮を剥ぐためのヘラと振り縄(ぶりなわ)

振り縄には木の棒が2本取り付けられていて、縄を幹に巻き付けて一方を足場に一方で腰を固定しながら木の上で作業を進めて、どんどん上に登っていきます。

作業中はしっかり固定して、上下に移動するときには簡単にほどけるという、技術が必要ではあるけど画期的な道具です。

先人の知恵はすごい。

 

作業が始まりました

まずは下の方からヘラと手を使って皮を剥いでいきます

ぶり縄を使って上の方に向かって剥いでいきます

剝ぎ取った皮を下ろします

皮を剥いだ後の幹(矢印は残された形成層や師部)

作業を見ていると簡単そうに皮を剥いでいきますが、実は樹木にとって生命維持や成長のために重要な形成層や師部を傷つけないように慎重に作業を進めていきます。

この慎重な作業により、また10年後の檜皮の採取ができるようになるんですね。

サステナブルです。

自然と共生しながら生きてきた日本人の知恵・・文化です。

 

採取したヒノキの皮

採取した皮は、ある程度保管されたあと、厚さをそろえ、長さを2尺半(約75センチ)にそろえて30kgの束にまとめて製品(檜皮材)となります。

ちなみに、屋根1坪(約3.3㎡)あたり150kgの檜皮を使うそうで、下の右の写真の束で5束で1坪しか葺けないということになりますね。

剥いだ皮をもう少し薄くして檜皮材にします

 この森で採取した檜皮を使って(全部ではないそうですが)2014年から高祖神社の本殿が葺き替えられ2016年に完成したそうです。

高祖神社本殿の檜皮葺き屋根

本殿屋根の葺き替えの様子が解説板に紹介されています

屋根に檜皮を張り付けるのに竹釘を使うそうです。

 

3年ほど前にも檜皮剥ぎの作業が行われたそうで、参道のヒノキが所々赤く見えます。

3年前に檜皮を採取したヒノキが点在しています

檜皮を剥ぎ取ったヒノキは、しばらくすると樹皮が美しい赤色になります。

赤みを帯びるというよりも、本当に美しい赤色です。

3年前に皮を剥いだ参道のヒノキ

3年前に皮を剥いだヒノキの樹皮

 檜皮を剥ぐ職人を「原皮師(もとかわし)」と呼ぶそうですが、現在30名程度しかいないとのことで、一見そこそこ人数がいるようにも思えますが、ひとつの建物で大量の檜皮を必要とすることを考えると、日本中にたくさんある檜皮葺きの寺社などの文化財の葺き替えを賄うのには全く足りていない状態のようです。

 もちろん檜皮屋根の葺き師、竹釘師等の職人の不足もあり、日本独自の伝統文化である「檜皮葺き」が減少していく恐れがあります。

 もう還暦を過ぎた私には直接的になにかできるとは思えませんが、少しでも多くの方に伝えることができればと思います。

 

 ところで、檜皮葺きや原皮師等の情報については、それぞれ検索してみるともっと詳しい情報が得られます。

 ぜひ検索してみてください。

 あと、今日聞きかじった話で、間違いがあるかもしれませんので…(苦笑)

 それから、糸島市の高祖神社、本殿は2023年に国の重要文化財に指定されたそうで、境内は、深い森の中静かで厳かな雰囲気です。

 ぜひ一度出かけてみてください。

 

2026年2月7日

 

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