しろ鹿 脊振の山散歩

かけだし森林インストラクターのぶらぶら山散歩

初秋の井原山へ

前回の更新から1ヶ月が過ぎてしまいました。

毎度の言い訳になりますが、今回は福岡市内の某小学校の森林環境教育のとりまとめ役を仰せつかっていたり、まあ、シーズンですので色々と行事が多くて・・・

 

で、やっと初秋の雰囲気がただよい始めた井原山・水無谷に出かけてみました。

水無谷のケヤキの森

水無鍾乳洞の駐車場に植えられたキンモクセイがいい香り(芳香剤のような-笑)を振りまいています。

キンモクセイ(モクセイ科)

 

沢沿いには秋の花々が咲き始めています。

ヒカゲミツバ(セリ科)

ツリフネソウ(ツリフネソウ科)

ツリフネソウの距

ツリフネソウは、不思議な形の花ですが、よく見ると「距」の部分がくるくると渦巻いています。

「距」というのは、花の後ろの部分ですが、スミレなんかは、この部分が大工道具の墨入れ=墨壺(水糸に墨をつける壺)に形が似ているから・・・という説明で「距」という言葉が出てきます。

ほんと、変な花・・・(笑)

 

これに比べると、仲間のキスミレは、色といい形といい上品です。

キツリフネ(ツリフネソウ科)

 

秋になると、毎年マクロレンズで接写してしまいます。

ミゾソバ(タデ科)

本当に普通にたくさん咲いている、珍しくもない花ですが、観察会でも虫眼鏡で見てもらうと、花のかわいさに参加者の方は、すごく喜んでくれます。

 

ミゾソバの花にスジグロシロチョウが来ていました。

スジグロシロチョウ

モンシロチョウに似ていますが、模様がちょっと違います。

 

こっちは稜線のササ藪で

クロヒカゲ

 

アキチョウジ(シソ科)の花には、クマバチが

クマバチ(キムネクマバチ)

クマバチは、ミツバチと同じく「ハナバチ」と呼ばれる仲間です。

肉食でもなく、集団で生活しないので、巣を守るために攻撃的になったりはあまりしないそうです。

どちらかというと、おとなしい蜂です。

黒くていかつい感じがしますけどね・・・

 

これはあってるかどうかわかりません。

本当にわかりにくくて

ヤマシロギク(キク科)

シラヤマギク(キク科)

ヤマシロギクとシラヤマギク・・・

どちらも比較的特徴的な株だと思います。

 

今年は、思いのほか大雨と台風の影響が大きかったですね。

相変わらず、大雨と台風の爪痕

 

スギの幹についたコケから、かわいらしいキノコが・・・

ヒメコガサ?

多分、ヒメコガサ・・なのか?・・・

 

山頂付近にも秋の花が

アキノキリンソウ(キク科)

ツルリンドウ(リンドウ科)

 

山頂の岩の上にカマキリが

尾根筋の森の中で

ヤマガラ

コゲラ

他にも、エナガの声もしていましたが、姿が見えないまま。

 

これは、ヤマアカガエルかな?

ヤマアカガエル

背中の線の曲がり方などから、多分ヤマアカガエルでしょう・・多分

 

近々、レイジンソウが見たいという方を案内する予定なので、下見もかねていました。

レイジンソウ(キンポウゲ科)

もう、場所によっては咲き始めています。

つぼみもたくさん。

 

あと、トリカブトは、もう少し

トリカブト(キンポウゲ科)のつぼみ

オオバショウマ(キンポウゲ科)

 

これも、毎回ついついカメラを向けてしまう大木たち

カヤ(イチイ科)の大木

鍾乳洞第2入口の分岐にあるカヤの木です。

イヌガヤ(イチイ科)の実

こっちは、イヌガヤ。

イヌガヤは、葉っぱの先っぽが柔らかくて痛くないけど、カヤはめちゃくちゃ痛い。

そうやって見分けます。

・・・というのは、観察会で参加者に痛い思いをしてもらういたずらで、実は葉の裏の気孔帯の様子をみればわかります。(もちろん、本当に痛いかそうでないかでもわかります)

 

ケヤキ(ニレ科)の大木

これは、水無渓谷から瑞梅寺川の水源への分岐のケヤキの大木です。

実物は、結構な迫力ですよ。

今年は暑さが長く続いたので、紅葉はどうでしょうね。

秋の山も楽しみがたくさんです。

 

2023年10月1日山行

 

ふくおか森林インストラクター会 | ふくおか森林インストラクター会は地域の人々に自然や森林の大切さを伝えています。

 

残暑の中の井原山

井原山山頂

気になる花もあったので、井原山へ出かけました。

だらだら登りが好きではないので、普段登らないんですが、久しぶりにダルメキ谷のコースを登ってみました。(とはいえ、途中瑞梅寺川源流経由ですが)

 

アンノ滝

石灰岩の急登

このコースは急登と微妙な登りを繰り返すので、どうも苦手です。

途中、潔くグーっと高度が上がる瑞梅寺川源流を経由しました。

 

雲は出ていたものの、好天で山頂からは佐賀平野、有明海の向こうに雲仙普賢岳がくっきり見えています。

山頂から有明海の向こうに雲仙普賢岳

山頂付近から金山、脊振山を望む

ビロードクリイロイグチ

尾根筋にはこのキノコがたくさん出ていました。

調べたらクリイロイグチというキノコの仲間のようですが、カサの表面の感じからビロードクリイロイグチのような気がします。

カサ裏や柄を詳しく見ていないのでわかりませんが…(見ててもわからないかも)

 

花も色々見られます。

アケボノシュスラン(ラン科)のつぼみ

ヤブラン(キジカクシ科)

オミナエシ(オミナエシ科)

サイヨウシャジン(キキョウ科)

ヤマホトトギス(ユリ科)

ヤマホトトギスとヤマジノホトトギスの違いは、一般的に花弁の開き方で見分けるといいますが、成長の段階でどちらも開き方が変わっていくので、なかなかむつかしいですね。

「ヤマ」は、花が茎のてっぺんのみに花が付きますが、「ヤマジ」は葉の脇からも花が出ますので、これで見分けた方がわかりやすいかもしれません。

とりあえず、この株は葉の脇の花やつぼみが全くなかったので、「ヤマ」かと思います。

 

ツルニンジン(キキョウ科)のつぼみ

スズムシバナ(ゴマノハグサ科)

スズムシバナは福岡県の2011年のレッドデータでは、絶滅危惧A-Ⅰとされています。

先日の豪雨の影響で、わずかな生育地も半分ほど流失していましたが、なんとか数株残って花を咲かせてくれていました。

 

シシウド(セリ科)

ハグロソウ(キツネノマゴ科)

 

虫たちも元気です。

ヒカゲチョウ

翅の模様が微妙ですが、クロヒカゲではなくヒカゲチョウだと思います。

 

キアゲハ

アゲハチョウに似ていますが、上翅の付け根の模様が違います。

他のチョウたちと縄張り争いを繰り返しています。

 

沢の石の上でたくさんのチョウが吸水に集まっています。

スジグロシロチョウ

モンシロチョウのようですが、同じシロチョウの仲間のスジグロシロチョウです。

なんかかわいいですね。

 

キマワリ

キマワリも脊振の稜線付近ではよく見かけます。

 

ダルメキ谷も水無谷も先日の豪雨の爪痕が残っています。

豪雨の爪痕

今のところ、登山道に通行困難な箇所はありませんが、以前の通り歩けない場所もあるので、注意が必要です。
あと、流木などで沢がせき止められた状態の場所もあるので、しばらくは雨の後は山に入らない方がいいかもしれません。

脊振山地全体として、山歩きにはしばらくは注意が必要ですね。

帰りの車の中から虹が見えました。

2023年8月27日山行

 

ふくおか森林インストラクター会 | ふくおか森林インストラクター会は地域の人々に自然や森林の大切さを伝えています。

 

金山から小爪峠へ

金山山頂

前の週に出かけた小爪谷で、数か所アブやブヨにやられたので、今回は沢の少ないコースで…と、佐賀側の林道から金山~小爪峠を歩いてきました。

 

先日の豪雨のあと、佐賀県側の林道もあちこちで崩れて、通行止めになっていましたが、かなり早めに片付けられているようです。

豪雨でがけ崩れを起こした斜面のあと

福岡市側はまだ全然手が入っていなくて、寸断されたままですが。

 

林道の登山口(山中地蔵上)から1時間ほどで金山山頂です。

この日は暑さもありましたが、稜線は北寄りの風でかなり涼しくて、ときおり南北の景色を楽しみながら、のんびり歩いてきました。

 

涼しげな沢の小滝の風景を

沢の小滝

光の入るスギ林

途中のスギ林もよく手が入っていて、林床まで明るい。

 

金山付近の稜線にはブナの森が広がっています。

稜線に広がるブナの森

九州のブナ林は、林床にミヤコザサがびっしり。

独特の風景となっています。

ただ、このミヤコザサが、日本のブナ林の実生を妨げているともいわれています。

「実生」つまり、母樹から落ちた実(種)が、新しく芽吹くことですが、これだけササ藪になっていると、なかなか芽吹けません。

それによって、ブナ林自体の更新ができずに、ブナ林がどんどん減っているそうです。

もちろん、気候変動、シカの食害も大きな影響を与えているんですが。

自然の流れはしょうがないかもしれませんが、なんとかこのブナ林を残したいものです。

 

縦走路から金山を振り返る

脊振山遠景
今日はかすんでます

 

花もいろいろ咲いてます。

コバギボウシ(キジカクシ科)

先週、つぼみを紹介したコバギボウシが、もう咲いていました。

山野草としては、大ぶりの花で上品な花ですね。

好きな花のひとつです。

 

 

ヤマホトトギス(ユリ科)

ホトトギスの名前は、花弁の赤い模様が鳥のホトトギスの胸の模様に似ていることから、つけられたそうです。
そんなに似てませんけどねえ…(笑)

 

オトギリソウは、悲しい伝説が…

オトギリソウ(オトギリソウ科)

「悲しい伝説」は、昨年も紹介したので割愛しますが、稜線にたくさん咲いています。

脊振でも数種類のオトギリソウが見られるようですが、なかなか分類が難しいので、「オトギリソウ」としておきます。

 

こちらは林道沿いで

イヌトウバナ(シソ科)

シソ科の、よく見かけるやつです。

虫たちも…

今はトンボたちが元気です。

オオシオカラトンボ♀

多分、オオシオカラトンボの♀でしょう。
あんまり見たことないです。

 

こっちは、普通のシオカラトンボの♀です。

シオカラトンボ♀

こっちは林道を飛んでいたました。

ミヤマサナエ

ミヤマサナエのようですね。

同じく林道で葉っぱの裏に派手な色の毛虫が

フクラスズメの幼虫

フクラスズメというガの幼虫のようです。

成虫は地味です。

毒々しい原色の幼虫は、「毒があるかもよ、危ないやつだよ」というアピールをして身を守っているとも言われています。

このフクラスズメには毒はないそうです。

本当は気が弱いのに、イカツい格好して歩いている若者のようなものです。(笑)

 

ツマグロヒョウモン

金山の稜線では、よくツマグロヒョウモンを見かけます。

オナガアゲハ♀

クロアゲハかとも思いましたが、下翅の模様や尾の長さから、オナガアゲハのようです。

ちょっとピンボケしましたが

クツワムシ

稜線でクツワムシ(多分)が飛んできました。

 

金山の山頂のコゴメウツギの枝にシマヘビが休憩していました。

シマヘビ

シマヘビは普通臆病で、人に気づくとすぐ逃げるのですが、こんなところで日向ぼっこをしているところをみると、体温が下がって動きが鈍っているのかもしれません。


アブを避けたつもりでしたが、1個だけやられました。
森林香(強力虫よけ線香)と虫よけ剤をしっかりやっていたんですが。

 

虫よけしながら虫の写真を撮って…

なんとも…

 

2023年8月13日山行

 

ふくおか森林インストラクター会 | ふくおか森林インストラクター会は地域の人々に自然や森林の大切さを伝えています。




猛暑のなか小爪谷へ

豪雨のあと、車谷と椎原峠ルートの様子は見ていましたが、多分荒れているだろうと思われる小爪谷(小爪峠ルート)が気になるので出かけてきました。

猟師ヶ岩東側の岩場から雲仙を望む

林道から歩き始めましたが、すでに大変な暑さにやられます。

それでも、林道沿いには、たくさんの花や木の実が見られます。

カラスザンショウ(ミカン科)の花

カラスザンショウは、森の中を歩いていると、幹のトゲやトゲの後のぼこぼこでしか気づきませんが、林道だと目の前で花も見ることができます。

改めて「サンショウ」の名が付いているミカン科の木なんだなあ…と

 

こちらはすっかり花は終わって実をつけています。

クマノミズキ(ミズキ科)の実

葉っぱが対生になっているので、クマノミズキでしょう。

実、なんかおいしそうだけど、食べられないのかなあ・・・

 

こちらはおいしくなさそうなオオバヤシャブシの実

オオバヤシャブシ(カバノキ科)の若い実

オオバヤシャブシは、自生の分布は東北南部から近畿となっていて、砂防樹として道路のり面に植えられたことで、全国で野生化したそうです。

これも林道沿いなので、そういう経緯でここで生きているんでしょう。

 

エゴノキ(エゴノキ科)の実

 エゴノキの実はサポニンを多く含んでいて、味がえぐいので「エゴ」の木…

「えぐの木」でいいじゃん。

天然の石鹸になります。

 

ノリウツギ(アジサイ科)

これは夏の花。

樹皮の粘液を製紙用のノリとして利用されたので「糊」ウツギだそうです。

アジサイの仲間で、装飾花もついていますが、花(というか花序)の形が、アジサイとはずいぶん違いますね。

 

とにかく暑い日で、途中で沢登の一行と出会いました。

涼しそう、うらやましい。

沢登の一行

こちらは、沢に入ってないのに汗でびしょぬれ…

 

まだまだ夏だけど

アキノタムラソウ(シソ科)

アキノタムラソウです。

「アキノ」という名前が付いた花の中では一番早く花が咲くんじゃないでしょうか?

まあ、秋になっても咲いていますから、いいでしょうが

 

クサアジサイ(アジサイ科)

ヤマアジサイが終わった後は、クサアジサイ。

「ヤマ」はきれいなブルーの花で、こちらの「クサ」はピンクの花を咲かせます。

 

ヌスビトハギ(マメ科)

これは、かわいそうな名前ですね、何にも悪いことしてないのに。

実が衣服にくっつくからとか、実の形が盗人の足跡みたいだからとか、わけのわからない理由でこの名がついているそうです。

花は小さいけど、よく見るとかわいいんですけどねえ。

 

マツカゼソウ(ミカン科)

マツカゼソウは、葉っぱが特徴的で好きな花なんですが、葉っぱを写していませんでした。

ミズビキの赤い花とコントラストがよかったです。

 

ジンバイソウ(ラン科)

ジンバイソウもいつものところに…

まだつぼみの状態ですが、株は少しずつ増えています。

 

ミズタマソウ(アカバナ科)

これも面白い花ですね。

ミズタマソウ。

花の下にげじげじの実がついています。

 

コバギボウシ(キジカクシ科)のつぼみ

コバギボウシは、まだつぼみでした。

このつぼみの形が、和風の端の欄干の突端や神社の高欄の柱の突端につかられる「擬宝珠」に似ているから…とか

似てるかなあ?

 

夏はやっぱり虫たちも元気です。

ミヤマカラスアゲハ(上は♂下は♀)

ミヤマカラスアゲハは翅の色が本当にきれいです。

メスは少し色がじみですが。

 

イチモンジチョウ

飛び方や見た目でガと間違われますが、蝶の仲間です。

このイチモンジチョウは、下翅がかなり欠けてます。

ずいぶん戦ってきたんでしょうね。

 

で、こっちはシジミチョウかと思って調べたら

ベニイカリモンガ

ベニイカリモンガというガの仲間です。

そもそも、蝶と蛾は生物的には同じ種となっているそうです。

一般に「蝶は翅を閉じて止まり、蛾は翅を開いたまま」とかいうことを言われますが、これは全く間違いで、しいて言うと触角の形ともいわれます。

それも、例外ありのようですね。

 

カマキリ君はまだ子供のようです。

カマキリ

カマキリって、こちらをじーっと見てるんですよね。いつも

 

ゴマダラカミキリ

これはカミキリムシ。

昔は、街中でもたくさん見かけましたが、最近は珍しくて、懐かしい虫になりました。

 

足元で「ぎぃーーーーーー」と声がする

エゾセミ

と思ったら、足元の岩にしがみついてエゾセミが鳴いていました。

九州では山の中でしか出会えませんが、北海道では平地にもたくさんいるそうです。

鳴き声はかなりやかましいですが

 

最後に少し風景を

メタセコイア(スギ科)の林

猟師ヶ岩東側岩場より福岡市内を望む

で、結局小爪谷の登山道は、豪雨の影響はほとんどありませんでした。

もともと荒れ気味で、整備されていないので…

ただ、季節的に途中のヤブがひどくて、ルートを見失いそうになるほどでした。

なんとかせねば。

ヤブ漕ぎとあまりの暑さで、軽い脱水状態になって食事をとれませんでした。

水分は、ナトリウムも含めて十分持って行ったので、問題はなかったのですが、皆さんも野外活動の際は、十分お気を付けください。

 

2023年8月5日山行


ふくおか森林インストラクター会 | ふくおか森林インストラクター会は地域の人々に自然や森林の大切さを伝えています。

豪雨の爪痕・・車谷

更新さぼってました…

…で

7月の豪雨の時には、脊振山地上空にもしばらく線状降水帯が発生していたので、登山道や林道にもかなりの影響が出ていそうです。

林道は確認できただけでも、椎原登山口と小爪谷の間の林道1か所、三瀬峠方面から滝川谷の登山口(花乱の滝上流)への林道、三瀬村から椎原峠方面へ向かう林道(佐賀県側)は土砂崩れで通行止めになっていました。(佐賀県側はすぐに重機が入っていたので復旧しているかも)

時期的に、車谷のキツネノカミソリ、オニコナスビの状態も気になるので、車谷に出かけました。

 

車谷の沢も水量が多めです

車谷ー矢筈峠のルート、上の林道から上の沢は色々なところに爪痕が残っていました。

豪雨の爪痕
斜面の樹木が根元からごっそりと沢まで滑り落ちています。

椎原峠への登山道も、斜面がえぐられています

キツネノカミソリの群生地

車谷上流部のキツネノカミソリの群生地は、斜面の球根も流され、大小の石や岩が流れ込んでいます。

ここ数年、車谷のキツネノカミソリの群生地はたくさんの花が咲き誇って素晴らしい風景をつくってくれていましたが、今年はちょっと厳しいようです。

かろうじて咲いていたオオキツネノカミソリ(ヒガンバナ科)

残った株は少しずつ花を咲かせていましたが、上の群生地を見る限り、こんな花やつぼみ、茎さえも見当たりません。

 

こちらは、元気に咲いてくれていました。

オニコナスビ(サクラソウ科)

最近、この辺りのオニコナスビも有名になって、踏み荒らしが問題になっています。

別の自生地もあるんですが、数年前にイノシシが掘り返したようで、少し数が減ったうえにここ数年花がついていないようです。

盗掘はもってのほかですが、踏み荒らしでも群落が弱ってしまいます。

気を付けたいものです。

 

こちらはまだつぼみ…

ヤマジオウ(シソ科)のつぼみ

ヤマジオウも県によっては絶滅危惧種に指定されている花です。

地味ですが、大切にしたいですね。

 

豪雨の爪痕が残る中、色々な生き物がしっかり季節を表現しています。

クヌギタケの仲間?

キノコは難しいのですが、多分、クニギタケの仲間でしょうか?(って、質問型)

 

オトギリソウ(オトギリソウ)

オトギリソウも色々な種があります。

このあたりでは、オトギリソウ、ナガサキオトギリ…色々…

 

コオニユリ

コオニユリ(ユリ科)

オニユリによく似ていますが、オニユリは葉の付け根にムカゴが付きますが、コオニユリは、ムカゴが付きません。

 

虫や生き物たちも元気です。

スジコガネの仲間

葉っぱを食べるコガネムシと…

 

センチコガネ

糞やキノコを食べるコガネムシ。

じつは、仲間のカブトムシも糞や腐葉土に集まりますね。

 

こちらは、捕まえると、ひっくり返って死んだふりをして、しばらくするとペコンッと飛び上がるコメツキムシです。

コメツキムシの仲間

多分、クシコメツキの仲間かと思います。

 

チャバネセセリの仲間

セセリチョウの仲間もいろんな種類がいます。

ガではありません。

 

ジャノメチョウの仲間、ヤマキマダラヒカゲ

ヤマキマダラヒカゲ

ヒグラシ

珍しく近づいても逃げないヒグラシが目の前で鳴き始めました。

カメラを向けると、鳴きながらゆっくりと木の裏に隠れようとします。

…が、なぜか1周まわってまた目の前に来てくれました(笑)

 

ブチサンショウウオ

サンショウウオちゃんたちは、雨にも流されず清流で元気に成長しています。

 

無残に豪雨に流されたキツネノカミソリの球根や樹木もありましたが、自然の中で季節はしっかり巡っています。

生き物たちはたくましいですね。

2023年7月23日山行

 

ふくおか森林インストラクター会 | ふくおか森林インストラクター会は地域の人々に自然や森林の大切さを伝えています。

コケイランとコケイランモドキ・・その他いろいろ

雨も続いて山に行けないし…

前回の記事で、コケイランと紹介していましたが、違っていましたので、少し整理を

コケイランモドキ(ラン科)

前回「コケイラン」と紹介した上の画像の花、少し貧弱だなとは思っていたんですが、まあ、花期もずいぶん遅いし…なんて感じで、疑ってもいなかったんですが、色々調べてみると「コケイランモドキ」という花のようです。

 

下の画像を見てください。

同じく脊振山地で撮影したものです。

コケイラン(ラン科)

これは、コケイラン。

まず、違いのひとつは、見た目ですね。

コケイランに比べて「モドキ」の方は、かなり貧弱ですね。

花はコケイランの方が少し大きめで、花の数もコケイランの方が少し多めです。

コケイラン(ラン科)

コケイランモドキ(ラン科)

細かく見ていくと、3枚の萼片の形もコケイランは細く伸びる感じで色も黄色、「モドキ」はかなりちっちゃくてやや茶色い感じですね。

あと、唇弁(一番下の花弁)も、コケイランの方が少し長くて切れ込みが多いですね。

それから、花期が全然違います。

コケイランは5月、コケイランモドキは6~7月で、1か月程度違います。

撮影した時も、なんか違うなとは思って、図鑑を確認したんですが、「コケイランモドキ」が全く頭になかったので、そのまま、「コケイラン」としてご紹介してしまいました。

すみませんでした。

 

さて、コケイランモドキの話はこれくらいにして、ついでに…

同じラン科の地味な花を

オオバノトンボソウ(ラン科)

これは、四王寺山で咲いていた、オオバノトンボソウです。

面白い花ですね。

脊振では、同じラン科ツレサギソウ属で、ジンバイソウを見ることができますが、トンボソウには出会ってないですねえ。

 

つぎも四王寺山のコキンバイザサです。

コキンバイザサ(キンバイザサ科)

ササのような葉っぱの根元あたりに毛の生えた黄色い花を咲かせます。

 

その近くで、一生懸命枝のふりをしているヤツがいます。

シャクトリムシ(シャクガの仲間の幼虫)

いわゆる「シャクトリムシ」です。

シャクガと呼ばれるガの仲間の幼虫です。

どちらかというと、成虫の「シャクガ」という名前は幼虫がシャクトリムシなので、こっちからついた名前のようです。

幼虫のミノムシから名前が付いた「ミノガ」と一緒ですね。

 

ヒメジョオンの花に小さなちょうちょがたくさん…

ヤマトシジミ♀

ヤマトシジミ♂

ヤマトシジミは、よく見るシジミチョウの仲間ですね。

シジミの味噌汁の「シジミ」も「ヤマトシジミ」という名前ですね。

 

ベニシジミも小さな蝶ですが、よく見ると美しい蝶です。

ベニシジミ

マメコガネ

マメコガネも沢山見かけます。

この時季は交尾中のが多いです。

お邪魔しました。

 

ここのところ、雨が多くて山に出かけていないので、ちょっと前の画像を見ていただきました。

天気予報では、来週末には梅雨明けしそうな雰囲気です。

暑くなるなあ…

 

ふくおか森林インストラクター会 | ふくおか森林インストラクター会は地域の人々に自然や森林の大切さを伝えています。

梅雨の花いろいろ

ちょっと、秘密の森?(笑)に出かけて、この梅雨の時期に咲いている花に会ってきました。

まずは、代表格のアジサイ…ヤマアジサイです。

梅雨です、アジサイの季節

ヤマアジサイ(アジサイ科)の花

ヤマアジサイは、装飾花がきれいな青に染まっています。

他に、梅雨の花、アジサイ科2種を

ツルアジサイ(アジサイ科)

イワガラミ(アジサイ科)

ツルアジサイとイワガラミは、よく似た花です。

はっきり違うのは装飾花の形。

ツルアジサイは4枚の花弁のような装飾花、イワガラミは1枚だけぴらっとついてます。

葉のギザギザ(鋸歯)も、ツルアジサイは細かいギザギザ、イワガラミはかなり大きめのギザギザです。

 

次は、シソ科

ヤマトウバナ(シソ科)

ヤマトウバナは、沢沿いの湿ったところにひっそりと咲いています。

(※当初「イヌトウバナ」と表示していましたが、誤りでしたので、訂正しています)

 

同じシソ科のウツボグサ

ウツボグサ(シソ科)

林道の日なたに群生しています。

花の形が弓矢の矢を入れる「靭(ウツボ)」に似ているからウツボグサ。

 

トラのしっぽ…

オカトラノオ(サクラソウ科)

この花も時季ですね。

「虎の尾」の名前にふさわしい形の花です。

晴れた日はタテハチョウの仲間がたくさんやってきます。

「トラノオ」の名前が付く花には、サクラソウ科とタデ科があります。

イブキトラノオ、ハルトラノオなんかはタデ科ですね。

 

この花を見ると山深い場所に来たなと感じます。

バイケイソウ(シュロソウ科)

花が梅、葉がケイランに似ているので梅恵草

新芽が山菜(オオバギボウシやギョウジャニンニク等)と間違われることが多いのですが、強力な毒があります。

時々誤食して中毒を起こす人がいますので、ご注意を。

そういえば、先日マムシグサの実をイチゴと間違えて食べてひどい目にあった中学生がいたようです。

山のものを雰囲気だけで口に入れるのはやめましょう。

 

こちらは生薬として利用されます。

トチバニンジン(ウコギ科)

健胃、解熱や育毛剤としても使われるとか…

少し花が咲き始めていますね。

 

アセビのような花が鈴なり

ネジキ(ツツジ科)

ネジキの花です。

もう縦走路にたくさん花が落ちています。

 

ついでに…というとかわいそうですが、

ネズミモチ(モクセイ科)

ネズミモチの木も沢山の花をつけています。

 

最近あまり盗掘の対象にはなっていないようですが…

コケイラン(ラン科)→コケイランモドキ

やはり、数は減っていますね。

野生のランは育てるのが難しいので、業者による盗掘が多いともいわれています。

(※これも、すこし誤りがありますので、7月8日の記事に詳細を記載しました。)

 

ウリノキの花も、もう終わりそうです、

ウリノキ(ウリノキ科)

 

スギ林の道に花が落ちているのを見て気が付きます。

テイカカズラ(キョウチクトウ科)

テイカカズラの花です。

藤原定家に由来する名前の花です。

 

今日は、盗掘の恐れがあるランの花があるので、場所は秘密にしておきます。

 

2023年6月24日山行

 

ふくおか森林インストラクター会 | ふくおか森林インストラクター会は地域の人々に自然や森林の大切さを伝えています。