しろ鹿 脊振の山散歩

かけだし森林インストラクターのぶらぶら山散歩

チープトラバース(全山人力踏破?)

今回もまたまた脊振ではありません。

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今津湾から糸島の山々を望む
中央やや左が柑子岳、右端が灘山

NHKのグレートトラバースに影響を受けたわけではありませんが、今回は早良区の自宅から自転車で糸島半島の山を2~3座登る計画で出かけてきました。

まずは自転車で糸島半島最北端の灘山(209m)を目指します。

糸島半島東沿岸から今津湾に入るとサイクリングロードが設定されています。

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海釣り公園先のサイクリングロードから灘山を望む

県道を北上し唐泊漁港の先の緩やかな峠の頂上付近が灘山の登山口になります。

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灘山の登山道はカシやマテバシイなどの照葉樹の森の中

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灘山第2展望台から二見ヶ浦方面を望む

登山口からは照葉樹林の中の急登が続きますが30分ほどで山頂横の第2展望台に到着です。

山頂は第2展望台から少し東側に登ったところにありますが、ここは森の中です。

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灘山山頂
三角点があります

今日はピークハントなので山頂を踏んだらすぐに下山です。

と言いながらきょろきょろしながら歩いていると、いつも脊振では見慣れない木が

樹皮の割れ目の感じからカエデの仲間のようですが…

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ウリカエデ…多分

ウリハダカエデかウリカエデか…縦縞模様が目立たない感じからするとウリカエデのようです。

さあ、下山すると自転車で大原海水浴場付近まで戻り柑子岳登山口を目指します。

登山口は海岸沿いから数十メートル登るので自転車だとちょっと辛くなります。

柑子岳(254m)は登山口から結構急な木段が続きます。

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柑子岳登山道の木段

急登を登って行くと30分足らずで展望台に着きます。

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展望台から大原海水浴場方面を望む

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柑子岳山頂

柑子岳は戦国時代の山城跡と言われており、周防の大内氏、豊後の大友氏で争われていたようです。

山頂は切り開かれており見晴らしのいい広場になっています。

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柑子岳北の展望台から灘山を望む

この山もスギの造林と照葉樹の森に包まれています。

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タブノキの冬芽

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シロダモの冬芽

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海岸沿いの山に多いトベラの葉

柑子岳を下りると隣の天ヶ岳の登山口に向かいます。

登山口には善應寺というお寺がありますのでここを目指します。

天ヶ岳はいわゆる双耳峰で尖ったピークが女天ヶ岳(261m)、まるい方が男天ヶ岳(250m)です。

やっぱり女性の方が…

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天ヶ岳
右奥の一番高いピークが女天ヶ岳、左のまるいピークは男天ヶ岳

まずは女天ヶ岳の方へ

鞍部に上がり右へ尾根を登って行くとスギ林のかなりの急登からすぐに山頂に着きます。

登山口から30分くらいでしょうか。

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女天ヶ岳への急登

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女天ヶ岳山頂

鞍部に戻ると反対側の男天ヶ岳へ

こちらは比較的緩やかな登りで、山頂付近も森の中ながら広々としています。

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男天ヶ岳山頂付近
マテバシイやアラカシの森の中

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男天ヶ岳山頂

山麓の谷に小さな水の流れがありました。

ここ最近雨は降っていないのですが小さいながら水が絶えずに流れています。

たった2~300mの山ですが山(森)の保水力を感じますね。

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小さな谷に小さな沢が…

さて、今日のところは3座で帰ることにしましょう。

まあ、帰りも自転車なのでもう体力も気力もなくなりかけてるので…

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夕日にアオキの葉がキラキラ光っています

帰りに今津の海岸を走っていると天気も良くなり博多湾の海がきれいだったのでたまには海の画像を…

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今津の海岸から博多湾

今回なんとなく感じがつかめたので、いずれ近いうちに糸島半島の200m以上の山全山自転車踏破に挑みたいと思います。

 

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雪の車谷から鬼が鼻へ

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鬼が鼻岩から背振山を望む

最近脊振以外の山に行く機会が多くなってきたので、今日こそはと出かけましたが、またまた雪山になってしまいました。

皆さん、特に九州の方は雪、大好きですよね。

私はあんまり好きではありません。(笑)

まあ、でもとにかく行ってきました。

 

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カラスザンショウ

下界から眺めても山がうっすら白くなっていたので積雪があるのは間違いないのですが、登山口からしばらくはほとんど雪はありませんでした。

上の写真はカラスザンショウの木の幹です。

若木の時は鋭いトゲがありますが、成木になるとトゲがこんなイボイボになります。

なんかキノコが生えてるみたいに見えますね。

 

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車谷林道下のケヤキの大木

しばらく登るとイヌガヤの葉っぱに雪が載っているのが見えます。

冷たそうですけどね、針葉樹はあまり気にしないのかな?

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イヌガヤの葉に雪

 

ところが、同じ常緑樹ですが広葉樹のアオキ、シロダモ、シキミは少しいつもと様子が違います。

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アオキの葉

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シロダモの葉

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シキミの葉

これらの常緑広葉樹は、いつもなら冬でも葉っぱを開いて日の光を求めているのですが、今日は葉を下に向けています。

普通、雪の多い地方では冬に葉を落とす落葉樹が多く、これは光合成の効率の問題とか色々な理由がありますが、ひとつには積雪による枝折れをさけることもあるようです。

しかし、暖かい地方に多い常緑広葉樹(照葉樹)は雪に慣れていないので、たまに雪が降るとこうやって葉っぱの上に雪が積もらないようにしているのかも知れませんね。

見たところ同じ樹種でもある程度の大きさの成木には見られないので、まだ枝や幹が弱い幼木の生存のための知恵なのかも…

 

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雪の車谷

林道を越えて上の沢に入ると雪もだんだん深くなってきます。

今日は北風も強くてとても寒い!

そんな沢沿いにキツネノカミソリの芽吹きが見られます。

5月に葉を繁らせ葉っぱが枯れると7月末頃からオレンジの花を咲かせます。

でも、まだ2月はじめ。

もう芽を出して春の準備を始めていました。

雪の中から芽を出す姿はなんだか健気でかわいいですね。

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キツネノカミソリの芽

とはいえ、まだまだ冬のまっただ中。

沢には色々な形のツララもできています。

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沢には色々な形のツララが

矢筈峠から縦走路に出ると完全に雪景色です。

矢筈峠周辺のアカガシの森も雪の中。

縦走路を西へ、鬼が鼻岩へ向かいます。

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アカガシの森

矢筈峠からはアカガシの森とブナの森に始まって、カエデやミズナラの林、リョウブやミツバツツジなど低木の落葉樹そしてまたアカガシを中心とした照葉樹林…

風景がどんどん変わっていきます。

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雪の縦走路
落葉樹の足下にはミヤコザサが繁っています。

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縦走路の照葉樹林
年間を通して林床に日が入りにくいのでこっちにはササも生えていません

 

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雪の中のツルシキミ

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唐人の舞付近の縦走路から福岡市内を望む

ちなみに、この縦走路、大半は福岡県と佐賀県の県境になりますので写真の左手は佐賀県、右手が福岡県になります。

 

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アカガシの大木

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椎原峠も雪の中

しばらく歩くと椎原峠に到着します。

ここには十数年程前まで丸太で作ったベンチがありましたが朽ち果てて消えてしまいました。

ベンチのある風景が好きだったんですが残念です。

でも、あの丸太のベンチが自然に帰って行く過程をずっと見ていたのでなんとも感慨深いものもあります。

 

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鬼が鼻岩から福岡市内を望む
目前の山は油山

鬼が鼻岩に着くと尾根の方向の関係か風が収まり薄日も差して少し暖かくなったのでコーヒーなど飲みながら少しゆっくり過ごせました。

下りは直登コースの急斜面を転がるように下山です。

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小滝のツララ

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ツララ

椎原登山口につくと昨年から伐採されていたスギの原木が積上げられていました。

これでどれくらい福岡の林業が潤うのか…いや、なかなか厳しいとは思いますが、ちゃんと伐採して、植林して順調に山を管理していければ福岡市の水源のひとつでもある室見川の源流域も守られ福岡市民としては大変ありがたいことだと思います。

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椎原登山口に積上げられたスギ丸太

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正面からこうやって見ると面白い

最後に、稜線の広場にたくさんの動物の足跡があったので…
多分、ウサギとタヌキではないかと?

ウサギとタヌキというと何か日本昔話がはじまりそうな…(笑)

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ウサギの足跡

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これはタヌキかな?

                          2022年2月6日  しろ鹿


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宗像四塚縦走

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城山山頂から玄界灘を望む

以前からやりたかった宗像四塚縦走に出かけました。

宗像四塚とは福岡県宗像市と遠賀郡岡垣町の間に横たわる城山、金山、孔大寺山、湯川山の4座で標高は300~500m弱の低山です。

低山とはいえ縦走路途中に3つの峠があり登山口からの登りを含めると約350mの登りを3回120mほどの登りを1回なので実質全部で1000mを超える登りになります。

この縦走をした人はよく「縦走というより4つ山を登るだけ」と言いますね。

まあ、低山とはいえやはり結構ハードだということでしょう。

今回は体力づくりといつもの脊振山地では見られない海辺の照葉樹の森の風景を楽しみたいと思います。

1座目の城山は福岡県の絶滅危惧種でもあるハナカズラや珍しいキノコ・キヌガサダケでも有名です。(もちろん今は時季ではありませんが)

城山の急な登山道を登るほどシイやカシをはじめとした大きな照葉樹がたくさん見られます。

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シロダモの大木
脊振では幼木ばかりでこんな大木は見たことない

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アラカシのはっぱ

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登山道で見つけたマンリョウの実

城山の山頂は広々として北と西に眺望が開けているので玄界灘の大島や遠く沖ノ島が見渡せます。

ここは古くからこの辺りを支配していた宗像氏の居城蔦ヶ岳城があった場所です。

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山頂広場のノグルミ

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山頂広場に咲いていたロウバイの花

城山山頂から縦走路を石峠方面へ向かいます。
ここからさらに大木と鬱蒼とした照葉樹林に入ります。

石峠から金山南岳・北岳を経て地蔵峠から標高で300mばかり登り返して孔大寺山もずっと森の中。

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鬱蒼とした照葉樹の森

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縦走路の風景

縦走路を歩いていて気づいたんですが、クスノキが思ったよりは少なくてスダジイの大木が多いように思います。

あと、落葉樹ですがイヌシデの巨木もみられます。(もしかしたらアカシデやイワシデも混じっていたかも)

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立派なカゴノキ

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スダジイの巨木

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これもスダジイ

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イヌシデの巨木

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ヤブツバキの林の中にシデの大木
なんだか不思議な景色です

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ヤブニッケイの大木
これも脊振では大木をなかなか見ません

道はとにかく照葉樹の森の中を稜線に沿ってきっちりアップダウンを繰り返します。

この縦走路のつらさのひとつはちょっとしたピークもトラバースすることなく急登もジグザグを切らず正直にまっすぐに稜線のアップダウンをトレースしていることかもしれません。(登りも下りも急)

 

ここまではシイ、カシ、シデ、ナラにツバキやヤブニッケイの森が続きます。

孔大寺山から境界標の石碑のある垂水峠に一旦下り、湯川山への急登を登って行くとマテバシイの林が現れます。

マテバシイはかなり大きな株でも株立ちの状態でかたまって生えており独特の風景を作っています。

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孔大寺山の山頂も森の中

 

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登山道のマテバシイの森

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森の魔王
ヤブニッケイの根が…ちょっと怖い

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尾根上もマテバシイの森

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マテバシイの根
尾根のマテバシイは薄い土壌から根がむき出しになっています。

 

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湯川山山頂

垂水峠から最後の登りを登り切って電波塔を過ぎると最後のピーク湯川山の山頂です。

北側に開けていてやはり海の眺望がいい山頂です。

湯川山はこれまでと違ってピークを巻いたり急登をジグザグに登ったり少し楽に感じます。

それはともかく…今回とても天気が良くていいコンディションだったんですが、縦走路がほぼ全般照葉樹林の中でまったく日が当たらない上に北風がそこそこ吹いていたので寒くて寒くて…

低山の長距離縦走は夏より冬と思って決行しましたが、3月くらい?もう少し暖かいころがいいかもしれません。

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湯川山山頂から玄界灘
水平線付近にうっすら沖ノ島が見えてたんですが…

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今門登山口付近の畑から海の眺望

 

冬の間はなかなか色がない写真が多いので少し色目を入れておきます。

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農家の庭のカワヅザクラ

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あぜに咲くホトケノザ

やはり予想通りのハードな山歩きでしたが、いつもの脊振山地では見られない照葉樹の森は感動でした。

JR教育大前駅を8:30頃出発して湯川山麓の門前バス停に15:30到着。

休憩も含めちょうど7時間の山歩きでした。

 

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雪の金山へ

ここ数日冷え込んで、山も白くなっていたので雪を求めて金山へ出かけてきました。

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雪の縦走路で雪遊び

稜線付近は雪が20cm程度積もっていて…縦走路にだれも歩いていないし…

ついついこんなことをして遊んでしまいます。

60前のおじさんがひとりで…(苦笑)

 

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登山口から尾根にあがると雪が

標高500mを超えた尾根にあがると一面雪景色です。

よく見ると登山道を離れて森の中に消えていく動物の足跡がたくさん見られます。

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雪の上に動物の足跡が…

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ウサギの足跡

これは定番、ウサギの足跡のようです。

画像の右方向に走って行ったようですね。

左側の進行方向に縦にふたつ並んだ足跡が前足、右側の進行方向にむかって横に並んだ跡が後ろ足の跡です。

ウサギはまず後ろ足で強くけって前方の遠くのほうの地面に前足がついて、跳び箱を飛ぶような格好で後ろ足が前足の前方につきます。

なので、うしろについた前足の跡と前についた後足の跡がひとセットになって見えます…わかりにくいかな?

 

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これは何の足跡かな?
先のほうで2手に分かれているので2匹いたんでしょうね

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これも…タヌキかな?アナグマかな?

さて次は何の足跡でしょう?

指や肉球の跡が消えてるのではっきりわかりませんが、タヌキかアナグマかな

 

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山頂付近の登山道

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雪のブナ林

山頂に出るともうすっかり雪山の風情です。

登山者の踏み跡に土が見えません。

西山方面に周回する予定でしたがあまりに登山者が少ないのと雪が深いので縦走路のブナ林の様子を見に行ってそのまま元の道を引き返しました。

 

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シャクナゲの花芽

 

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縦走路のブナ林

予定を変更して時間に余裕ができたので冒頭の雪のワンちゃんを作製しました。

 

ところで、雪の脊振山地の歩き方ですが、多少積もっても新雪の時はひどく滑ることもなく、登りではキックステップ、下りはかかとから少し体重をかけて歩けばそれほど滑ることはありません。

アイゼン(軽アイゼン)は、雪が積もって数日過ぎてアイスバーンになっていたり圧雪で滑って全く足がかりができないときに使うもので、積雪=アイゼン装着ではないことを考えていただきたいと思います。

アイゼンを使用する場合も雪が少なくなって必要がなくなったらすぐに外してほしいと思います。

薄い積雪でアイゼンを使用することで登山道を削り木の根をひどく傷つけます。

もちろん安全第一ですが、雪道の歩き方をしっかり身に着けることも大事でしょう。

雪山は低山でも無雪期とは危険性が全く違います。

初心者の方はしっかり経験者と同行し歩き方を練習しましょう。

未経験者の単独での山行はやめましょう。

 

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室見川散歩

 

新年第一弾は山ではなく川です。

天気がいいので室見川河畔公園をぶらぶら…

まあ、室見川の源流のほとんどは脊振山地ですので知らない仲ではない感じでしょうか。

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カモメたち
手前からウミネコ(留鳥)、セグロカモメ(冬鳥)、ユリカモメ(冬鳥)

野鳥もあまり詳しくは知らないのですが、水辺の鳥をバードウォッチングです。

福岡市の鳥でもあるユリカモメがたくさんわたってきていますが、よく見るとセグロカモメやウミネコも混じっています。

それから、小さな鳥が群れでわちゃわちゃと…

ハマシギのようです。

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ハマシギ(旅鳥)

少し上流に移動して葦の藪にも鳥の気配が…

オオジュリン、モズ…と思われる鳥たちが見られました。

どちらも葦の茎にとまって茎をくちばしで割って中の虫の幼虫を捕っているようです。

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モズ

 

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オオジュリン(漂鳥)

 言い訳ですが鳥類は羽の模様や色が雌雄、幼成、季節で変わったりしますのでよく勉強しないとわかりません。

 多分あってると思うんですが…

 さらに上流方面の関の上に行くと水深が深くなり流れが緩やかでマガモなどの水鳥が見られます。

 マガモのほかにオオバン、カイツブリがよく見られます。

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オオバン

 

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カイツブリ(留鳥)

カイツブリは小さなカモのように見えますが、結構鋭い目つきで水中の餌を捕食するときは水に完全に潜って消えたかと思ったら意外なところからひょっこり姿を現します。

マガモのようなのんびりした感じはありませんね。

他にダイサギ、ハクセキレイの写真も載せておきますが、いずれもレンズのマッチング不良で(あくまでも機械のせい)ピンボケで申し訳ありません。

カワセミもいたんですが、これは本当にボケボケで…一応載せときますか。

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ダイサギ(冬鳥)

チュウサギと悩みましたが、チュウサギは夏鳥で川や海よりどちらかというと田んぼに多く、目の下の黄色の模様などからダイサギかと思います。

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ハクセキレイ(留鳥)

セグロセキレイに似ていますが顔周辺の模様で違いが判りますね。

 

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カワセミ(留鳥)

カワセミはほとんど「証拠写真」的になりましたね(苦笑)

「翡翠」(ひすい)と書いてカワセミと読まれるほど輝く緑色(ヒスイ色)が美しい鳥ですが結構どこででも見られます。

 

ちなみに…

冬鳥は日本の冬の時期に北から日本に渡ってきてひと冬を日本で過ごし、春にまた北へ渡る鳥。

漂鳥は比較的近い地域で季節ごとに移動する鳥で、夏場標高の高いところへ移動、冬になると低いところに下りてくるような移動をします。

旅鳥は日本のはるか南と北の間で「渡り」をする鳥でこの渡りの途中で日本に立ち寄ります。

そして留鳥は1年を通して日本で過ごす鳥ですね。

あともちろん夏鳥は春に南から日本に渡ってきて日本で繁殖し秋から冬には南に渡る鳥です。

ハマシギなんかはあの小さな体でかなりな距離を移動するんですね。

晴天の川辺でのんびりした空気が流れていますが渡り鳥たちは大変な旅をしてきたんだなあ…なんてことを考えてしまいます。

 

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あけましておめでとうございます

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昨年から本格的に開設したブログで、まだまだなかなか思うような記事が書けませんが、今年も少しずつ頑張って皆様に地元脊振や様々な自然の姿を伝えていければと思います。

本年もよろしくお願い申し上げます。

星野村の森へ

先週は福岡県の星野村で代々林業をやっておられる森林インストラクターの先輩のお宅にお邪魔して100年を超えるスギの林を見学させていただきました。

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スギの植林を見学

日本の国土の約70%は森林でこのうちの約40%は人工林となっています。

この人工林は大半がスギ、ヒノキ、カラマツ等の針葉樹です。

特に最近はスギ、ヒノキの花粉症や枝打ちや間伐が行われていない暗い森に不法投棄のごみが放置されていたりでこれらの人工林はあまりいいイメージを持たれていないように感じます。

やはりみんな明るくて、新緑や紅葉が美しい落葉広葉樹の森が大好きですよね。

でも、ちゃんと管理されたスギやヒノキの林は地面(林床)まで光が入り、下草や低木が生え思いのほか美しい森になります。

とはいえ、どんな森が美しい人工林なのかやっぱる見てみないとわからないということで山をお持ちの先輩にお願いしてみんなで見学させていただくことになりました。

 

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まずはお宅にお邪魔して山ではなく星野茶のおいしいいただき方をレクチャーしていただきました。

お茶は低温(40~50℃)でゆっくり出すか最近では水出しのお茶に熱いお湯を注ぎ温度を調節して飲むのもいいそうです。

飲み比べさせていただきましたが、それぞれで風味が違っていずれも苦みがなく甘みが引き立っていました。

その後、午前中は比較的近場の山を見学しながら、枝打ちのやり方やスギの品種の話とかいろいろなお話を聞きました。

スギの苗も材の用途や地域の環境などに合わせて農作物のように品種の改良がおこなわれており、いろいろな品種があるそうです。

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山の上に新しい植林が見えます。

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4年生ほどのスギ

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樹齢100年を超えるスギ林

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幹周り3m弱のスギ

午後から山の奥まで林道を進み100年の森へ向かいます。

皆さん、樹齢100年を超えるスギの林ってどんなイメージでしょうか?

屋久島の森とは言わないまでも風格のある太い幹のスギがたくさんあるような感じじゃありませんか?

もちろん伐採後使用される材の用途などにもよりますが、単純に幹周りの太さというだけではなく、スギの森の良しあしはまずは樹高によるそうです。

見学させていただいた山には樹高30mを超えるスギが整然と並んでいて、中には幹周りが3mにもなるものもあります。

樹齢に対し幹がそれほど太くなっていないということは年輪が詰まっていてしっかりした美しい材が得られるということで、樹高が高いということはそれだけ長い材が得られるということになります。

そして枝打ちがしっかりされているため、森の中は明るく林床には草本類やアオキ、クロモジ、シロモジやアラカシの幼木が生え多様性があり、林床の土壌が大雨などによる流失から守られている状態がわかります。

 

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スギの樹冠

樹木の全体の葉の生えているいちばん外側の部分を「樹冠」といいます。

例えばスギやモミなどは何となく円錐形というイメージですが、この円錐形を形づくる外側の線や面の部分…わかりにくい?…が樹冠です。

普通同じ大きさの樹木同士だと生存競争でより自分の葉を広げるためにお互いの葉が重なってしまいますが、上の樹冠の写真を見るとスギは周辺のほかのスギの樹冠には重ならないようにお互いすみ分けている感じがします。(遠慮深い)

実はこの性格を利用して、はじめ密集させて植林することによって横に広がりすぎずに上にまっすぐ伸び、ある程度上に伸びたときに間伐をして間隔を広げてあげると今度は横に太くなっていくので木の上と下(末口と元口)であまり太さに差がないまっすぐな材を得ることができるようにしているそうです。

初めから樹木の間隔を十分離して植えるとしたからどんどん太くなって先のほうは細い円錐形の幹になってしまい、特に建築材料などには向かないものになってしまうそうです。

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台風で荒れた森

スギ、ヒノキは50~100年程度で最もいい材が取れるようになるのですが今、日本ではそのような収穫期にある山が人工林の50%にもなっているそうです。

この「財産」をこのままにしておくのはもったいないし、もちろん放置すれば災害の原因にもなるし環境の維持にも影響を及ぼします。

ところが、林業従事者も高齢化などで減少していることに加え木材価格の低下により利益が十分に得られないことなどでさらに従事者が減っています。

正直な話、いろいろな林業関係者の方に話を聞いても今すぐに劇的に林業の状況が好転する要素はあまり見られません。

一方、今宮崎の飫肥杉はそのブランド力で中国の富裕層の需要があり輸出が増えているという話も聞きます。

志を持った若い人たちが会社をつくって自伐型林業を行っているという例もあります。宮崎の例はともかく最近林業についた若い方々は強い「使命感」を持って、実際に動き始めているのかと思います。

林業は国土保全を担う重要な仕事であることを考えれば本当は国策として林業にかかわる対策をもっともっと行っていかなければいけないのでしょうが…やはりこういった実情に対し国民が知らない、興味がないので対策が後回しにされしまうという声も聞きます。

自分では林業に携わっているわけではないのでこういったことを伝えるのはなかなか難しいのですが何とか広く多くの人に知っていただいて、自ら林業に携わることはないにしても興味をもって、一緒に考えてくれる方が増えるだけでも少しでも事態が変わって状況が良い方向に向かうのではないかと思います。

美しいスギ林を見ながらそんなことを考えた1日でした。

 

ふくおか森林インストラクター会 | ふくおか森林インストラクター会は地域の人々に自然や森林の大切さを伝えています。 (forest-instructor-fukuoka.com)