もうそろそろ梅雨入りも近づいてきていますが、まだすこし猶予の晴天で矢筈峠から椎原峠の稜線沿いを散歩することにしました。
車谷の登山口から山に入り、上の林道付近からミツバウツギがたくさん見られます。
葉っぱが3枚一組で3出複葉と呼ばれる形でカエデの仲間のメグスリノキによく似ていますが、ミツバウツギは実の形が独特です。
この日は、いたるところでジョウカイボンの姿を見ます。
ジョウカイボンは甲虫目の昆虫ですが、外翅(上翅)が柔らかいのが特徴です。
カミキリムシに似ていますが、分類ではホタル上科ということです。
ホタルの仲間ですがベニボタルの方が近いんでしょうか?
肉食で小さな昆虫を餌としています。
車谷の沢沿いを歩いていると、向かいの斜面の森の中から美しい鳥のさえずりが聞こえてきました。
最後に「ジジッ」とはいるので、もしかしてオオルリか?と声のする方を見ていると高い木の上から降りてきて、一瞬姿を見せてくれました。
やはりオオルリです。
きれいな瑠璃色なんですが、取れた写真はツバメのようで…
少し色を調整しましたが残念ながらあの美しいるり色は出ませんでした。
それから、ミソサザイもせわしなくさえずっていました。
トチバニンジンももうすぐ花を咲かせそうです。
見ての通り葉っぱがトチノキの葉に似ているから「栃葉人参」ですね。
沢沿いでツマグロヒョウモンを見かけました。
タテハチョウの仲間はなわばりをもっていて、なわばりに入ってくる他の蝶や虫たちにスクランブルをかけ戦いを挑むので翅がかけた個体が多いですね。
車谷上部の登山道脇にはたくさんのヤマアジサイがつぼみをつけていてこの1、2週間には見ごろになりそうです。
さらに登って行くとバイケイソウがもう咲き始めていました。
派手な花ではありませんが独特の雰囲気を持っていて、この花を見ると山深くまでやってきた感じがします。
先週ぽつぽつと咲き始めていたタツナミソウももう花盛りです。
稜線に出るとブナ、アカガシ、ミズナラの森が広がっています。
稜線のベニドウダンもすっかり赤く色づいています。
稜線沿いにはたくさんのサワフタギの木が見られます。
これからちょうど花盛りになります。
夏場はなぜか白い花が多くなります。
それから縦走路にはたくさんのアサヒナカワトンボが飛び交っていました。
カワトンボなんですけどねえ…
明るい縦走路でメタリックグリーンがとてもきれいです。
稜線にはヒカゲチョウの仲間の蝶が見られます。
上はヤマキマダラヒカゲ、下はクロヒカゲです。
リョウブやミツバツツジ、イヌツゲ等低木の林床に広がるササの中でひらひらと舞っています。
久しぶりに唐人の舞に寄ってみました。
その昔、日本に渡ってきた唐人が遠く祖国を望みながら舞を舞ったといわれる大岩がありますが、先がとがった登るのも大変な岩ですので、おそらくその唐人は雑技団の団員かもしれません。(笑)
唐人の舞の岩の脇に地味で小さなマユミの花が咲いていました。
この時期はカエデの仲間も面白い形の実をつけています。
プロペラのような羽根のついた「翼果」とよばれる実に種が入っていて、風に乗ってひらひらと遠くまで飛んでいきます。
稜線のあちこちにヤマツツジの花も咲いています。
鳥の鳴き声もにぎやかでした。
ヤマガラ、シジュウカラ、ウグイス、キビタキ、オオルリ…
突然近くでウグイスが鳴き始めたのでじっと待っているとちらっと姿を見せてくれました。
ウグイスはなかなか姿を見るのが難しい鳥なのでラッキーです。
あと、シジュウカラのさえずる姿も…
下山は椎原峠西を回り椎原へ
足元に飛び込んできたアカガエル(多分ヤマアカガエル)
メタセコイアの森の上にアマドコロとナルコユリが並んで咲いています。
イボタノキも小さな花をつけています。
メタセコイアの森で上を見上げると涼しげな若葉がきれいです。
メタセコイアは中国原産の木ですが、生きた化石と言われ数百~数千万年前から現在の姿で地球上に存在している樹木と言われています。
日本ではアケボノ杉ともよばれ公園などに植えられているのをよく見かけます。
脊振の椎原ルートにはなぜかスギの植林の中に突然メタセコイアの森が現れます。
もちろん植林されたものです。
椎原の登山口付近でウリノキの花が咲き始めていました。
面白い花です。
白い棒状のものがつぼみで、この白い花弁がくるくると巻き上げられていき、おしべやめしべが現れ、開花です。
なかなかコミカルですね。
クマノミズキも咲き始めていますので、これからはヤマボウシも見ごろになってきますね。
楽しみは続きます。
2022年6月4日山行