しろ鹿 脊振の山散歩

かけだし森林インストラクターのぶらぶら山散歩

まだ早春の金山

少し気温が下がる予報でしたが、もう4月だし…

金山に出かけてみました。

…が、稜線は北風が吹き、春というより早春の雰囲気でした。

縦走路から金山を望む

坊主が滝の尾根コースから金山山頂を目指しました。

冷えているとはいえ、照葉樹たちは新しい葉を出して、古い葉を落としているので、登山道も落ち葉で包まれています。

山道には照葉樹の落ち葉が降り積もっています。

照葉樹(常緑樹)の落ち葉は、ロウの成分が多く含まれているものが多く、かたくてしっかりしているので、踏みしめると葉っぱ同士がつるつる滑って歩きにくい、いや、場所によっては危険でもあります。

秋に葉を落とす落葉樹と違い、常緑樹は春に新しい芽を出すために古い葉に溜めておいた栄養を新しい芽に渡し、古い葉を落としてしまいます。

それで、常緑樹は春に落葉します。

 

今日はかなり寒くて、稜線のブナの森もまだまだ冬のようで、春の花たちもこれから、という感じです。

 

スミレ(スミレ科)

これは、登山口の杉林を抜けた鉄塔の下に咲いていたスミレです。

前にも後にもなにも付かない、ずばり「スミレ」です。

比較的人里に多いんですけどねえ。

 

シハイスミレ(スミレ科)

このシハイスミレは稜線でよく見かけます。

 

登山口付近の杉林の中にはシャガがたくさん咲いていました。

シャガ(アヤメ科)

シャガは、アヤメやカキツバタの仲間で、白いハナショウブのような花です。

 

まだ寒い中、カンアオイは花を付けていました。

カンアオイ(ウマノスズクサ科)

ウンゼンカンアオイだと思って撮ったんですが、もしかしたらタイリンアオイかも知れません…花を少し掘ればわかったかも…

ウンゼンカンアオイは、脊振ではたくさん見られます。

古代中国・秦の始皇帝の命で海を渡った徐福が探していた不老不死の薬とはウンゼンカンアオイではないかとも言われています。

すごく地味な花です。

 

ツクバネソウは、まだつぼみです。

ツクバネソウ(シュロソウ科)

稜線の草原で珍しいやつに会いました

ツチハンミョウ(甲虫目)

ツチハンミョウです。
初めて見たときは、巨大なアリかと思いました。

こいつは、面白い習性があって、幼虫はハナバチに寄生します。

このやり方が、花に待ち伏せして、やってきたハチに飛びついて、そのまま巣に連れて行ってもらって寄生するらしい…やばいやつです。

おまけに、人が触れるとヤケドのような炎症をおこす毒を出します。

これが目に入ると失明することも…

見かけても絶対触ったり、捕まえようとしないように。

でもね、こいつに出会うと、春だなあ…って思います。

 

縦走路岩場から脊振山を望む

 

稜線にはシロモジの花が咲き誇っていました。

シロモジ(クスノキ科)が花盛り

 

麓の登山道ではヤマフジも咲き始めています。

ヤマフジ(マメ科)

これは、この春もうなんべんも登場しているシキミの花です。

シキミ(マツブサ科)

こちらは同じ「シキミ」の名がついていますが…

ミヤマシキミ(ミカン科)

ミカンの仲間のミヤマシキミですが、シキミと同じく毒があります。

葉っぱは柑橘の香りがしますが、絶対に食べないように…食べないか…

 

 

小爪峠西側のピークから坊主川源流方面へ急な斜面を下りていくと、立派なブナの木がいました。

ブナ(ブナ科)の大木

 

こちらは、ユズリハ…

ユズリハ(ユズリハ科)

もう、新しい葉っぱに譲ろうとしています。

…先ほども説明したとおり、ユズリハに限らず常緑樹は春が来ると、新しい葉っぱに後を譲って、古い葉っぱは落ちていくんですけどね…

 

そろそろ、あの山にサバノオの花を見に行こうかなあ…

 

2023年4月8日山行

 

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